出版社内容情報
世界経済にとって重要な中国市場に潜む「チャイナ・リスク」とは――日韓台の企業によるビジネス展開と対策を明らかにする。
大国化した中国は,世界経済を左右する存在となり,世界にとって重要な市場となった.しかしながら,その市場は,中国特有の「チャイナ・リスク」が潜んでいる.日本・韓国・台湾の企業は,このリスクをいかに捉え,どのようなビジネス展開をしているのか,政治リスクとの比較を通して明らかにする.
はじめに 中国の台頭をめぐる挑戦と応戦――企業のチャイナ・リスク認識という課題設定(園田茂人・蕭新煌)
第一部 台湾
第1章 中国における「台商」――その政治リスク下の生存戦略(陳志柔)
1 はじめに
2 台湾の台中直接投資の概略
3 台商にとっての中国の政治的リスク
4 不確実性への対応方法としての「関係」構築
5 労務環境の悪化にどう対応するか
6 おわりに
第2章 政治ゲームとしてのビジネス――台湾企業の政治的役割をめぐって(呉介民)
1 問題意識
2 対中経済依存の構造
3 代理人モデル――中国による政治的インパクト行使のメカニズム
4 台商の政治的役割――その事例分析
5 結論
第二部 韓国
第3章 韓国の大企業はなぜ中国投資に積極的なのか――政治リスクと経済機会の狭間で(朴濬植・李賢鮮)
1 はじめに
2 調査の設計
3 台頭中国の魅力
4 韓国財閥ビジネスグループの中国における成功
5 チャイナ・リスクを評価する
6 おわりに
第4章 韓国中小企業の中国適応戦略(金潤泰・李承恩)
1 はじめに
2 中国の政治経済的リスク――外資系企業に対する政策基調と経営環境の悪化
3 撤退企業の増加と韓国政府の対策
4 中国に投資する中小企業の適応戦略
5 おわりに
第三部 日本
第5章 日本企業のチャイナ・リスク認識にみる歴史的変化(園田茂人)
1 はじめに
2 日本の対中投資に見る歴史的変化
3 第一期(―1991年)――分離・対立する二つのシステム
4 第二期(1992―2001年)――融合・交渉する二つのシステム
5 おわりに
第6章 反日デモはチャイナ・リスク認識に影響を与えたか――ビジネスリスクと駐在員の役割変化(園田茂人・岸 保行・内村幸司)
1 はじめに
2 第三期(2002―2011年)――「政冷経熱」という新たな時代
3 第四期(2012年―)――「チャイナ・プラスワン」戦略の台頭?
4 おわりに
第7章 「関係」のポリティクスとリスク管理――中国における日韓台企業の比較(園田茂人)
1 はじめに
2 中国における個別主義の復活
3 調査のデザインとデータの形状
4 仮説と分析結果
5 結果の解釈
6 おわりに
おわりに 日韓台企業にとってのチャイナ・リスク――その比較から得られる知見(蕭新煌・園田茂人)
参考文献
【著者紹介】
園田 茂人
園田茂人:東京大学東洋文化研究所教授
内容説明
市場としての中国をどのように捉えるべきか。いまや世界の工場から巨大な市場へと変貌した中国、そこには大きな「リスク」がある。日本・韓国・台湾の中国進出企業のビジネス展開を分析し、「リスク」の実態と各国企業の中国観、経済大国・中国の現状を明らかにする。
目次
中国の台頭をめぐる挑戦と応戦―企業のチャイナ・リスク認識という課題設定
第1部 台湾(中国における「台商」―その政治的リスク下の生存戦略;政治ゲームとしてのビジネス―台湾企業の政治的役割をめぐって)
第2部 韓国(韓国の大企業はなぜ中国投資に積極的なのか―政治的リスクと経済的機会の狭間で;韓国中小企業の中国適応戦略)
第3部 日本(日本企業のチャイナ・リスク認識に見る三〇年;反日デモはチャイナ・リスク認識に影響を与えたか―二一世紀以降のビジネスリスクと駐在員の役割変化;「関係」のポリティクスとリスク管理―中国における日韓台企業の比較)
日韓台企業にとってのチャイナ・リスク―その比較から得られる知見
著者等紹介
園田茂人[ソノダシゲト]
1961年生まれ。東京大学大学院社会学研究科博士課程中退。中央大学教授、早稲田大学教授などを経て、東京大学大学院情報学環・東洋文化研究所教授
蕭新煌[シャオシンホワン]
1948年生まれ。ニューヨーク州立大学バッファロー校で博士号取得。中央研究院社会学研究所所長などを経て、中央研究院社会学研究所特聘研究員(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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