目次
序章 阪谷素という視点から(対象の限定―『明六雑誌』と明六社;先行研究の検討―啓蒙・国民国家 ほか)
第1章 公論―阪谷素の政治思想(『明六雑誌』体験;「探奇」の時代 ほか)
第2章 政体―『明六雑誌』の議会構想(『明六雑誌』の「国体」論;思想問題としての「封建」「郡県」論 ほか)
第3章 文明―『明六雑誌』と「租税公共の政」(開化の現実/文明の夢;文字と文明 ほか)
終章 統治の倫理―『明六雑誌』の政治思想
著者等紹介
河野有理[コウノユウリ]
1979年東京都生まれ。2003年東京大学法学部卒業。2005年同大学大学院法学政治学研究科修士課程修了。2008年同大学大学院博士課程単位取得退学。博士号(法学)取得。現在、首都大学東京都市教養学部法学系准教授(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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denz
2
『明六雑誌』が象徴する明治初期の思想状況を「啓蒙」というそれ自体の意味が不明確な用語で表すのではなく、多様な意見をもつ者たちの「公共」的な討論の場として論じる。それをより明確にするため、主に洋学者の集団であった明六社の中で異彩を放ちながらも寄稿数では上位に入る儒学者阪谷素という人物を中心に据えて、読者の固定観念を揺らがせる。本書は、『明六雑誌』に収録された諸論考のみを分析対象とするのではなく、その背景となる様々な思想や政治状況を分析し、そこで語られた諸用語を彼らがどのように理解しようとしたかが語られる。2012/07/12