出版社内容情報
ロシアはアレクサンドル二世のもとで近代化に向けて様々な制度改革が試みられたが,貴族・ツアーリ政府の抵抗も強く不徹底なものに終った.本書は大改革時代の核となった自由主義思想の検証を通してロシア近代史研究に新しい切り口を示す.
内容説明
帝政ロシアはさまざまな面で西欧に遅れをとっており、大改革はその認識から始まった。本書においてロシアを取り上げたのもその後進性のゆえである。しかし本書における後進性の意味は、近代性に対する前近代性の量的優越にとどまるものではない。後進性を単に克服の対象としてみるのでなく、従来後進性の名のもとに一括されていたもののなかにさまざまな軸を設定して、前近代性と近代性との独自のかかわりとそこからの歴史の創出に関する多面的・立体的な理解を生み出していくことを、著者は自らの課題としている。
目次
序論 問題の所在
第1章 国家と社会をめぐる議論
第2章 農奴制の廃止―所有と支配の分離と自由主義
第3章 ゼムストヴォ機関の設置―身分制度と自治
第4章 残された課題
結論 大改革期自由主義とその変容