出版社内容情報
秀吉発給の文書をもとに,書札礼や禁制の内容・形式の変遷を考察し,さらに在地城館制から一国一城制への転換における信長・秀吉の城郭政策の意味,また戦乱をめぐる権力と民衆のあり方を究明する.秀吉権力の形成過程とその構造を実証的に追究した労作.
内容説明
この書物は、中世から近世への移行における、秀吉権力の果した役割とその位置づけを、書札礼、禁制、城郭政策、還住掟書などのそれぞれについての総体把握を試みることによって、考えようとするものである。
目次
第1章 秀吉の書札礼
第2章 秀吉と禁制
第3章 信長・秀吉権力の城郭政策
第4章 郷村禁制の展開
第5章 戦乱をめぐる権力と民衆―加敗状・小屋上り・還住掟書
感想・レビュー
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chang_ume
9
94年刊。豊臣秀吉関連史料の「博捜」を経た、史料学的検討。木下藤吉郎、羽柴筑前守、関白へと上昇を遂げつつ、秀吉が通交相手に対して「書札礼」(書式と料紙の双方)を変化させていく過程は、史料がモノとして読解・観察されるなかで、にじみ出るような時代理解だった。その他、「禁制」や「城郭政策(破城令)」など、豊臣権力が専制性において織田信長までとは異なる次元に到達したさまを、数々の史料から浮き彫りにしていく。刊行当時の「惣無事令」理解を背景とした秀吉発の一国規模の「禁制」解釈は、現時点ではどう評価されるのかなとか。2021/02/13
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