出版社内容情報
歴史とは何か、そして史料とは何か。ヨーロッパ史研究を牽引してきた著者が歴史学のさまざまな手法を解説、学問の基本と作法を平易に説く。歴史教育の現状も視野に入れ、私たちがこれからすすむべき道を示す。概論を学びたい学生や、歴史を見る眼を養いたい社会人にも最適。
内容説明
歴史とは、そして史料とは何か。第一線の歴史家が、これまで生み出されてきた手法とその課題を解説。アナール派を導き手に、私たちがこれからすすむべき未来を考える。
目次
第1章 歴史の道筋
第2章 いかに歴史を叙述するべきか
第3章 史料批判は終わらない
第4章 拡散する数量史
第5章 心性史と感情史
第6章 社会史の冒険
第7章 無告の民の歴史
第8章 文化史の課題
第9章 土台としての自然と身体
第10章 甦る政治史
著者等紹介
池上俊一[イケガミシュンイチ]
1956年愛知県生まれ。現在、東京大学名誉教授(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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さとうしん
15
最初の三章で歴史をいかに叙述するかという問題や史料批判など総論的な問題を論じ、以下の章で数量史、感性史など個別の動向を紹介・論評し、最後に著者が否定的に扱ってきた政治史に戻り、「おわりに」で初等・中等教育も含めた歴史教育の問題について言及するという構成はなかなか面白い。基本的な部分から近年の動向までかなり勉強になった。数量史やグローバル・ヒストリーに否定的な所を見ると、著者の理想とする歴史学のあり方は直接史料にあたり、人間の心の動きが見えるオーソドックスなもののようだ。2023/01/17
PETE
6
フランス史を専門とする著者による歴史学入門。歴史学の方法的問題の扱いもバランスがとれていて、歴史学の補助的学問の紹介も入門的で啓蒙的。さらに、数量研究、アナール派、心性史、感情史、女性・子供史、ミクロストーリアなど、代表的な研究潮流とその主要著作の紹介は非常にわかりやすい。フランス史が中心だが、英米独日の主要著作はあまねく紹介されていて、西洋史専攻を目指す大学2~3回生くらいには読書の手引きとして重要な本だと思う。 2023/04/27
瀬希瑞 世季子
4
歴史叙述をする歴史家は、自分が書こうとしている叙述内容一つのみの整合性や妥当性を問題とするのではなく、その時代・地域に共同主観的に受け継がれ、たえず積み重なり拡張し、また修正されていく大きな歴史像ないし他のすべての歴史言明・歴史叙述の集合体の内部に、それらと整合的に、新たに書き加えられる歴史叙述がしかるべく位置づけられるように注意しながら書かねばならない。それが一つの作品(テクスト)内での整合性のみに留意すればよいフィクションとの大きな違いである。2024/08/21
numainu
0
評価B2024/11/27