出版社内容情報
地域に理不尽な体制を押しつけてきた「帝国」と、それに抵抗する人びとが志向する「民族」のはざまで、さまざまな選択や闘いを繰り広げる人びと。現在もなお悲劇が続くパレスチナ/イスラエルの歩みを振り返り、そこに浮かび上がるダイナミズムを描き出す。
【目次】
序 章 パレスチナ/イスラエルの変わらない構造:「n地域論」のその後(鶴見太郎・今野泰三)
概 説 パレスチナ/イスラエルの歴史と現在(今野泰三・鶴見太郎)
I 埋もれた層を掘り起こす
第1章 ベドウィンが生きた帝国と植民地主義:パレスチナ北部のバイサーン地方を中心に(今野泰三)
第2章 委任統治期パレスチナにおける「独立」のビジョンの隘路:アクラム・ズアイテルの回想録を読む(田浪亜央江)
第3章 集合的記憶の入植:ロシア東欧におけるポグロムとパレスチナにおける暴動/反乱(鶴見太郎)
第4章 帰還の権利を実践する:パレスチナ難民のミクロな経験から(金城美幸)
第5章 「無名」パレスチナ人と離散の記憶:難民化とアイデンティティの葛藤(鈴木啓之)
コラム1 植民地支配やアパルトヘイトに対する抵抗(髙橋宗瑠)
II 重層性の現在形
第6章 国際法と国内法の狭間で:四八年パレスチナ人の言語の権利(髙橋宗瑠)
第7章 ハマースにみる内政と外交の連動:その指導者間関係を中心に(江﨑智絵)
第8章 エルサレムの聖地管理権をめぐる軋轢:第一次トランプ政権の中東和平政策とヨルダンの苦悩(山本健介)
第9章 中東和平の頓挫とイスラエル政治による既成事実化:イスラエル・パレスチナ紛争の交渉なき終着の可能性(錦田愛子)
コラム2 パレスチナ問題と聖書考古学(役重善洋)
むすび(鶴見太郎・今野泰三)