出版社内容情報
「民衆(農民)運動と革命的独裁の矛盾が,ロシア革命の中に再生産され,さらに現代世界にまで影をおとしている」ことの意味を,ドリヴィエとロベスピエールの生涯の軌跡と彼らの理論と理想を追究することを通して再検討する.新しいフランス革命史研究の成果.
内容説明
本書は、ロベスピエールについてもドリヴィエについても、その思想や生涯の全容を描こうとするものではない。本書のめざすところは、この2人の出会いと別離のあとをたどることによって、フランス革命におけるロベスピエールの位置づけを明らかにするとともに、ひいては、フランス革命そのものの近代世界史における位置づけをも明らかにすることにある。この限られた一断面からの考察に、あえて無謀な副題を付したゆえんを諒とされるならば幸いである。
目次
序章 ドリヴィエとロベスピエールの出会い
第1章 エタムプ一揆
第2章 ドリヴィエと農民革命
第3章 ロベスピエールの思想と行動
第4章 民衆運動と革命的独裁
終章 フランス革命の世界史的位置
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
ステビア
1
いや〜これも面白かった。すごいや遅塚先生!復刊されたみたいだけどぜひ売れてほしい。2013/11/12
ピッピ
0
ブルジョワ革命の中で貧農の立場を代弁した『赤い司祭』の一人であるドリヴィエとブルジョワ革命を広範な国民運動に結びつけた最大の功労者であるロベスピエールのすれ違いを手がかりにフランス大革命を深いレベルで読み直すもの。マチエ,ルフェーヴル以来の複合革命説は周辺革命論の観点から大胆に拡張され、フランス大革命は農民的な相対的後進国の革命としてロシア革命,第三世界革命への継続性のなかに置かれる。これによってこの偉大な時代から未来への扉が改めて開かれるのであり、本書は革命史に重要な意味を付け加えた名著といえると思う。2024/09/10