感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ドワンゴの提供する「読書メーター」によるものです。
ホークス
34
2023年刊。女性から見れば偉そうで身勝手な男性を支配する窒息的な観念。著者は当事者による解放と、新たな人間観を考える。勝てない、醜い、常識外などの自己嫌悪→自己憐憫→怒りや絶望の負の循環。強いはずの自分が、内なる弱さに向きあうなどありえない。でもそれが救いの第一歩と著者は言う。女性や性的少数者や障害者にすれば加害者救済と映るかも知れない。差別の根を除き、対話を探る道は遠い。強い男性像を、私は古来の兵士養成の名残だと思う。幼少から慣らされた「勝利への忍耐とご褒美の優越感」を疑うには別の強さが必要だろう。2024/04/29
awe
5
『非モテの品格』が3章まで、4、5章が書き下ろし。久々に1〜3章を久々に読むも意外と新鮮であった。◆特に3章のケアに関する議論は面白い。筆者自身が非常勤の介護職員として働いておりその経験談も交えて話が進む。議論の大筋としては、(女性にケア負担を押し付けてしまう危険性を十分に意識しつつ)ケアの倫理性を称揚しそのあり方を公的領域に開いていくべきというもの。この辺はバトラーが言っているような気がするし、おそらく岡野八代『ケアの倫理』あたりで詳述されてそうな話。病気や障害を「病理」とみなすのではなく、それを通じて2024/11/30
Kooheysan
4
男性自身が男性であること(男性性)を語ることについて。男性社会の中で、その立場を弁えずに語ることはある種の欺瞞を伴うが、様々な論点間を行きつ戻りつ参照し、考えて語っていかないと先へ進めない困難。そして専ら社会に適応することだけを考えず、かつ閉じこもりすぎないための戦略について。筆者の言及通り、毛色が違う文章の集まりで戸惑いつつ、案外興味深く読めました。個人的には第三章の地に足がついた論考がよかったです。第五章は大変刺激的でした。ただ若干置いてきぼり感も…。明らかにそれは私の勉強不足が原因なのですが。2026/03/04
虫食い侍
3
読後感としては、圧巻である。私としては、この本を他人事として受け止められない。 一章〜三章までは、個人的な体験から出発し、蛇行運転のような筆致それ自体が「男性性」それ自体の語り難さを物語るようである。そして、三章では、「ケア」を起点にして、セカイ系的な存在肯定へと至る。批評っぽい切り口だ。 しかし、その後の章からは、山上徹也の応答に対して再応答する形で(水子弁証法的に)弱さを語れない〈弱さ〉のようなものを肯定的に示すために、かなり直接的に理論構成を試みている。ある種語り難さから筆者が解放されたかのようだ。2025/07/09
ねぼちゃん
3
「男らしさ」って呪詛だと思う(勿論「女らしさ」も同様に)。特に恋愛市場ではこの規範に則って振る舞うことが是とされる。この規範から逸脱する者は恋愛市場では負け組だ。自分は異性に承認されないという自責が負い目になり、異性への呪詛になる。この負のループから抜け出すためには…?恋愛からの早期リタイア。ある種の解脱を試みるが、取るに足らないと思っていた恋愛が、この世の全てのように思えてくる。異性からの承認は、地獄に足らされた蜘蛛の糸。すがる想いで手繰り寄せる。嗚呼。2024/02/24




