出版社内容情報
世界とのかかわりを見失い,主体であることも危うくなった人間の現在は,思想の虚無まで許すのか?主体から“投企体”へ,明日の人間の都市・性・子ども……をデザインし未来を企てる「わくわくするような思考の冒険」が始まる.
内容説明
世界とのかかわりを見失い、主体であることも危うくなった人間の現在は、思想の虚無まで許すのか。ニヒリズムを拒否し、明日の人間の都市・性・子ども…をデザインする思考の冒険が始まる。
目次
序 投企について
1 自立的生活について
2 都市をデザインする
3 家をデザインする
4 家族をデザインする
5 身体をデザインする
6 性をデザインする
7 子どもをデザインする
8 技術をデザインする
9 労働をデザインする
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
roughfractus02
2
テクストがなぜテクノ画像に変わるのか? この問いに対して著者は、神の従属者(主体:サブジェクト)から法則の投企者(投影:プロジェクト)への転換は、言葉でなく数をコード化すると可能ではないか、というクザーヌスの言葉を引く。歴史は印刷文字から電子画像へ転換したかに見えるが、当の歴史は文字コードが呪術的画像にあった神との二項関係を引き継いで可能だった。数が次の変容を用意する時、著者はクザーヌスの言葉にコンピュータの出現を投影する。ここから彼は、数によって法則から生み出されてきた都市空間を未来にプロジェクトする。2017/03/03
nukuteomika
0
テクノロジーの進化によって可能になる投企(プロジェクト)の検討。なんとなく能天気な気がしないでもないが科学史の視点は独特で興味深い2010/08/21
takao
0
ふむ2021/08/06
ひょ24
0
客体の世界が崩壊することで、その追である主体という概念も共に消えてしまうことになる。言葉ではすらっと言ってしまえるが、これが仮に起きた場合に、個人に及ぼす喪失感は半端ではない。そして、この転換によって新しい時代が始まり、人はこれ以上従属者としてではなく投企する者となる。最近は思想ばかり勉強していて、段々と技術に対する関心が薄れていたが、この本を通して技術が人類歴史に与えてきた大きな影響をもう一度、認識し直させてもらった。序論の破壊力に比べて途中、空想的に思える部分もあるが、だからこそ、より可能性を感じた。2018/06/01