対立を乗り越える心の実践―障害者差別にどのように向き合うか?

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  • サイズ A5判/ページ数 88p/高さ 22cm
  • 商品コード 9784130031530
  • NDC分類 369.27
  • Cコード C1036

出版社内容情報

大勢の障害者の尊い命が奪われた〈相模原事件〉。私たちの内にある潜在化する偏見を炙りだし、心のメカニズムと社会的背景に迫る。大勢の障害者の命が奪われた〈相模原事件〉を起こす影は,私たちの内にある.制度や「ねばならない」的教導では,差別はなくならない.「潜在化する偏見」を炙りだし,その原因となる心のメカニズムと社会的背景にまで遡って考察することで,差別解消への糸口を考える.大学出版部協会ブックレット第4弾.【発行:大学出版部協会/発売:東京大学出版会】

第1章 見えない偏見――障害者と取り巻く問題に現れる心の動き(栗田季佳)

第2章 バリアフリーという挑戦――「社会を変える」ことは可能か(星加良司)

第3章 生の問題として〈対立を乗り越える〉を考える(岡原正幸)

第4章 討論――対立を乗り越える学問の挑戦(栗田季佳・星加良司・岡原正幸)

第5章 特別討論〈相模原事件〉の後のこの国で――有事モード下の差別と偏見



栗田 季佳[クリタ トキカ]
栗田 季佳
栗田季佳:三重大学教育学部講師

星加 良司[ホシカ リョウジ]
星加 良司
星加良司:東京大学大学院教育学研究科附属バリアフリー教育開発研究センター専任講師

岡原正幸:慶應義塾大学文学部教授

岡原 正幸[オカハラ マサユキ]

目次

第1章 見えない偏見―障害者を取り巻く問題に現れる心の働き(偏見や差別を心の仕組みから考える;障害者差別は改善されたようには見えるが ほか)
第2章 バリアフリーという挑戦―「社会を変える」ことは可能か(バリア/バリアフリーについての一般的な理解;実は、“価値づけの問題”を問わねばならない ほか)
第3章 生の問題として“対立を乗り越える”を考える(なかなか変わらない社会;対立は何故なくならないか ほか)
第4章 討論―対立を乗り越える学問の挑戦(問い1 何が無力化するのか?―まなざしというディスエイブリズム;問い2 ラベリングの変更は有効か?―障害者と「障がい者」 ほか)
第5章 特別討論“相模原事件”の後のこの国で―有事モード下の差別と偏見(専門家としての自分を支えてきた何かが崩れ去った;被害者も加害者も他者であるという、排除の感覚 ほか)

著者等紹介

栗田季佳[クリタトキカ]
三重大学教育学部特別支援教育講座講師。三重県で生まれる。専門は教育・社会心理学。2013年京都大学大学院教育学研究科博士課程修了。修士(教育学)。日本学術振興会特別研究員(PD)を経て現職。障害者を取り巻く問題に現れる、人間の心のあり方や社会が抱える矛盾・葛藤を研究。関心は、障害者に対する態度研究を中心に、価値観の形成メカニズム、共生教育など

星加良司[ホシカリョウジ]
東京大学大学院教育学研究科附属バリアフリー教育開発研究センター専任講師。1975年生まれ、東京大学大学院人文社会系研究科博士課程修了、東京大学先端科学技術研究センター特任助教などを経て現職。社会学、障害学。社会のさまざまな関係や編成のありかたが、障害者を「無力化」するプロセスについて研究を行う。主な研究テーマは、障害者のシティズンシップと社会的位置、障害平等施策としての合理的配慮、社会的包摂のためのバリアフリー教育など

岡原正幸[オカハラマサユキ]
慶應義塾大学文学部教授。東京に生まれる。1980年、慶應義塾大学経済学部卒業。1980‐81年、ミュンヘン大学演劇学専攻。1987年、慶應義塾大学社会学研究科博士課程修了。2014‐15、ハンブルク大学パフォーマンススタディーズ研究所。感情社会学、生の社会学、アートベースリサーチを専攻、80年代における障害者の自立生活に関する参与観察が研究の原点(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

ゆう。

26
障害者差別にどのように向き合うことが必要なのか、心理学、障害学、感情社会学の立場の著者たちのシンポと討論がおさめられています。相模原障害者殺傷事件についても特別討論が掲載されています。本著は人間は根本的には差別をする生き物であり、それを踏まえたうえで、差別は社会構造などにより変化するという立場です。だから差別や偏見を自らの立場で考えていくことが必要だとしています。感情はその人が生きる社会的背景や環境、時代によって変化するものだと思います。でも人はそもそも差別する生き物なのか。深い疑問が残りました。2017/03/12

ふにゃ

2
心理学者と社会学者による本書は、これまでさまざまな本を出版してきた著者たちの思想のエッセンスを示している。心理学と社会学との対話ってあまりされてきてこなかったのではないかな。今後が楽しみ。2018/09/22

Invierno

0
やまゆり園事件を受けての対談は、大変興味深かった。「今の社会の中では、加害者が抱いていたとされるロジックが成立し得る、ということを了解してしまう自分がいる。」(星加)2022/06/12

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