- ホーム
- > 和書
- > 芸術
- > 絵画・作品集
- > 浮世絵・絵巻・日本画
内容説明
天皇の年賀の礼、関白の賀茂詣から始まり、闘鶏・蹴鞠、内宴、祇園の御霊会、叙位の儀式など平安時代の宮中行事を中心に民間の神事・仏事などの風俗、さまざまな行事をいきいきと描く。風俗資料として貴重な絵巻。絵・詞とも完全収載する総カラー版。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
ヴェネツィア
356
この絵巻は、後白河上皇の発案によって描かれることになったらしい。絵は常盤源二光長が描き、藤原教長が詞書を書いている。ただ、残念ながら原本は近世初期に焼失。幾種類かの摸本があるようだが、本書は住吉家旧蔵の十六巻本。江戸期の摸本だけあって、色どりも極めて鮮やかなのだが、残念ながら彩色は七巻までで、残りの九巻は白描。徹底した細密描写で、貴族や庶民の群衆を描くにも(かなりの大人数)一人一人を実に丁寧に描き分けている。また、王朝末期の風俗や有職故実を知る上からも貴重な資料。見ていて飽きることがない。2021/03/08
宇宙猫
20
★★★ 最近、天皇が代替わりしたので平安絵巻のような宮中行事が垣間見える機会が多かったが、平安時代は当然ながら年中行われていたわけで、それらを知ることができる貴重な絵巻。絵をみるのは楽しいんだけど、本に載せるため区切りに関係なく分割されているので分かり難い。こういうのはちゃんと巻物で見たいな。後付けの解説も分かり難い。こういう本は一般向けじゃないのかな。2021/03/10
クラムボン
12
後白河法皇の指示でつくられた宮中行事絵巻です。そこには庶民の風俗も見られる。当時、大内裏が再建されたばかり。中絶していた行事も復活し、記録に留めようとしたらしい。関白の藤原元房に校正を頼んだところ、押紙(付箋)を付けて帰ってきた。だが後白河院は描き直させなかった。「この押紙自体が重宝」だと、そのまま伝えられた。ただ江戸初期に焼失したので、これは土佐派から住吉家を興した如慶の模写です。彩色は一部だげで断簡もある。住吉家が明治で衰運したので、対馬の宗家→京都の田中家に移る。持ち主の推移も興味をそそられます。2022/02/13
月音
1
後白河院の命により制作された本絵巻は、残念ながら現在は模本が残るのみ。が、その描写は細密で、貴賎の別なく老若男女の姿がいきいきと描かれている。『源氏物語』などの古典で覚えのある宮廷行事・祭礼がちらほら。なるほど、こんな風にしてたのか。結構多いのが暴れ馬に牛車の暴走。鞍からもんどりうって倒れる男に、逃げ惑う群衆、たいへん!こっちは牛車同士の接触事故!牛車のスポークを濃い墨と薄墨で交互に線引きして疾走感を出す、炎のように吐く牛の激しい息遣い、毬杖の球に尾をつけて飛んでゆく軌跡を表す。⇒続2022/11/19