出版社内容情報
『レ・ミゼラブル(惨めな人々)』という題名それ自体の意味が、
黒々とした写実的な木口木版のおかげで初めて理解できたように思えた。
すなわち、ユゴーは単に貧困によって虐げられた弱者ばかりでなく、
貧困が生み出すあらゆる悪を、被害者も加害者もひっくるめた形で
描き出すつもりだったのではなかろうか――――(「はじめに」より)
19世紀フランスで大ヒットしていた「レ・ミゼラブル」。
話題作を《絵》で読みたいと欲する民衆のため、
膨大な木版挿絵360葉をつけた廉価版全巻233冊が刊行された。
それをパリの古書店で偶然発見した著者が、
挿絵230葉を選りすぐり、物語の要約を添え、
さらに当時の社会情勢や民衆の生活をわかりやすく解説。
時代を超えて人々の心に響く、愛と苦悩の物語を繙く。
作品にまつわる講演録、エッセイを収録。
・「なぜ『レ・ミゼラブル』は人の心をうつのか?」
・「19世紀初頭、フランスに生きた人びと」
【目次】
内容説明
パリの古書店で著者が偶然発見した稀覯本、ユーグ版『レ・ミゼラブル』から選りすぐった木版挿絵二百三十葉を収録。場面ごとのあらすじと、当時の社会情勢や民衆の生活に関する解説を添え、時代を超えて人々の心に響く愛と苦悩の物語を繙く。作品にまつわるエッセイ二篇を加えた完全版。
目次
第一部 ファンチーヌ
第二部 コゼット
第三部 マリユス
第四部 プリュメ通りの牧歌とサン=ドニ通りの叙事詩
第五部 ジャン・ヴァルジャン
なぜ『レ・ミゼラブル』は人の心をうつのか?
19世紀初頭、フランスに生きた人びと
著者等紹介
鹿島茂[カシマシゲル]
1949(昭和24)年、横浜に生まれる。東京大学仏文科卒業。東京大学大学院人文科学研究科博士課程単位取得満期退学。明治大学名誉教授。専門は、十九世紀フランスの社会生活と文学。1991年『馬車が買いたい!』でサントリー学芸賞、96年『子供より古書が大事と思いたい』で講談社エッセイ賞、99年『愛書狂』でゲスナー賞、2000年『職業別 パリ風俗』で読売文学賞、04年『成功する読書日記』で毎日書評賞を受賞。膨大な古書コレクションを有し、書斎スタジオ「NOEMA images STUDIO」を開設。書評アーカイブWEBサイト「ALLREVIEWS」、共同書店「PASSAGE」をプロデュース(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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