出版社内容情報
源内先生、べらぼうな事件の謎に挑む!
江戸を震撼させる連続殺人、不可能犯罪のトリック、田沼意次爆殺の謀議……。平賀源内の推理が冴えわたる!
*目次
萩寺の月/牡丹亭還魂記/稲妻草紙/山王祭の大象/長崎ものがたり/尼寺の風見鶏/蔵宿の姉妹/爆弾侍
〈解説〉日下三蔵
【目次】
内容説明
源内先生、べらぼうな事件の謎に挑む!江戸を震撼させる連続殺人、不可能犯罪のトリック、田沼意次爆殺の謀議…。北町奉行所の御用聞・出尻伝兵衛との小気味よいやりとり、推理小説としての妙、本草学者・蘭学者にして名探偵?平賀源内の魅力を堪能できる全八話。
著者等紹介
久生十蘭[ヒサオジュウラン]
1902年北海道生まれ。東京・聖学院中学を中退。「函館新聞」で記者生活を送るが、のち上京。岸田國士に師事し、演劇活動に傾倒。さらに雑誌「新青年」を舞台に執筆活動に従事。52年「鈴木主水」で第二十六回直木賞を受賞。57年死去(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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geshi
27
軽妙洒脱とはこういうこと、という文章のリズムが良く、平賀源内のキャラクターも相まって滅茶苦茶読み心地が良い。足跡のない密室状況、死者の復活、張子の象から出てきた死体、同じ日に離れた場所で起こった殺人、興味をそそられる不可能犯罪をスパッと快刀乱麻で解き明かす。江戸の風物がきちんと描かれ、御用聞の伝兵衛とのやりとりも小気味がいい、丁度いい捕物帳という感じ。トリックは「そんなの分かるかい」という所だが、平賀源内なら解き明かせるという納得感がある。最後2編が主人公変わっちゃったのはどう考えても悪手。2025/08/06
Inzaghico (Etsuko Oshita)
8
現在放映中の大河ドラマでヤスケンこと安田顕が演じて話題になった平賀源内。その源内先生が相棒である神田鍋町の岡っ引、出尻伝兵衛と組んで謎を解いていく。源内と伝兵衛の駆け引きが読んでいてリズムがよくて歯切れがよくて気持ちがよい。 どの話も、謎を解いたところですぱーんと終わるので、きつねにつままれた感じを覚える。下手人たちのその後などが一切なく、下手すると捕り物すらなく、純粋に謎を解いておしまい。よくある探偵ものや推理もののエンディングに慣れているので、ちょっと驚いた。2025/08/05
Susumu Kobayashi
6
『顎十郎』の方は昔、三一書房版の全集で読んだけど、こちらは読みたくても入手できなかった。その一部(3編)は創元推理文庫《日本探偵小説全集》の『久生十蘭集』に収録されていたが。今回、まとめて読めるようになったが、『顎十郎』に比べると一段落ちるように思った。しかも、最後の2編では平賀源内はほとんど活躍せず、御用聞き土州屋伝兵衛の姪であるお才が活躍する。2025/08/02
ブラックティー
3
平賀源内と相方の御用聞伝兵衛が難事件を解決する全8篇。才気煥発、多技多能、その一方でとんでもなく変人でどこかコミカルという多くの人が考える平賀源内像と、江戸の祭りや芝居小屋、長崎の南蛮貿易といった風物が事件の背景に描き出されとても魅力的だ。思いきった謎解きもあっさり話が終わって驚くが段々と癖になる。最後の2篇は伝兵衛の姪であるお才が活躍する。源内先生の出番はほぼない。トホンとした先生や伝兵衛と軽妙に言い争う先生が好きなので残念である。2025/09/17
左近
2
久生十蘭が新刊で出てる!と思わず手に取った。江戸時代のレオナルド・ダ・ビンチと称される平賀源内。実際にダ・ビンチと比較してどうだったのかはともかくとして、ルネサンス期のヨーロッパに生まれていたらどうなっていたのか、興味は惹かれる。あんな形で生涯を終えたのは実に残念でならない。志とは違った形で才を発揮せざるを得なかった天才ゆえの鬱屈があったのだろうか…さて、本書はその源内先生を主な探偵役に据えた捕物帳というか、結末はサラリと流している作品が多いので、むしろ情緒たっぷりな江戸描写を楽しむべきか。2025/10/09
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