出版社内容情報
75歳になって、86歳のひとを好きになって、何が悪いの?
燿子がついに出会った「ぴったりな人」。
人生仕上げの情愛がもたらすものは――。
ベストセラー『疼くひと』で70代女性の性愛を描いた著者が、
実感を込めて後続世代に送る、希望の物語
奇跡の出会い、周囲の偏見、肉体的交わり、終活への備え……
「人は老いても、毎日を幸せに生きる権利がある」を合い言葉に、
燿子と理一郎がとった選択は?
内容説明
七十五歳になって、八十六歳のひとを好きになって何が悪いの?―社会からの“外され感”を味わっていた燿子に、理一郎との稀有な出会いが訪れた。互いの来し方を認め、周囲の偏見と闘い、肉体的交わりに癒やされ、終活に悩み…「人は老いても、毎日を幸せに生きる権利がある」を合言葉に二人が挑む人生終幕の愛の形とは?
著者等紹介
松井久子[マツイヒサコ]
1946年東京出身。早稲田大学文学部演劇科卒。雑誌ライター、テレビドラマのプロデューサーを経て、98年映画『ユキエ』で監督デビュー。2002年公開の『折り梅』は二年間で百万人の動員を果たす。21年に初小説となる『疼くひと』を発表し、話題を呼ぶ(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
空のかなた
25
75歳、80歳という年齢で、配偶者と別れ一人暮らしの時間があまり有る日々。肌で感じる老いと死の予感に、このまま変わりない日々が続いていくと自分に言い聞かせる諦観。なかなか実感というか、想像するに難しく、距離を置いたまま読み終える。恋人を「先生」と呼び、なかなか名前で呼べない最後のシーン。現実より綺麗なまま、老いた2人の恋模様のようなエンディングに違和感を持ってしまう。2025/03/16
ぼん
3
『疼くひと』の続編。2作にわたり燿子の恋をみてきたが、このひとの自分をさらけ出す強さが印象的だった。自分らしく自由に生きるにもそれ相応の強さが必要だろう。文中に、燿子は90を前に〈生き方の転換〉ができる理一郎を稀有なひとと表現しているが、あなたも負けず劣らず稀有ですよと言いたい。また、理一郎の人生のテーマ「学問で思想的な思索を深めながら、自分の弱さをどう乗り越えていくか」に共感した。わたしも強くなりたいと思って生きてきた。やっぱり男は本質的に弱いから、社会的地位や名誉、お金、知識などで武装するのだろうか。2025/04/25
にょろりん
1
身につまされるなぁ。という場面がそこここに。「人は、歳をとっても幸福になる権利がある」のセリフに頷きながらも、この登場人物のように、そこそこ経済的に安定してればね、とも。健康でもないとあかんし、歳をとって楽しくしあわせに生きるのって、結構大変かも。つい現実に引き寄せてしまうけど、“気の持ちよう”ってのなら私にも可能かな。2025/04/07
のん
0
「しゃべれる関係というのは本質的な対等さがなければ生まれない」この文をふれた時に目から鱗が落ちた気分だった。自分の結婚生活を改めて考えさせられた。「高齢者になってからの愛の問題は、好奇と嫉妬の目で見られこそすれ、祝福されることも羨ましがられることもない」その通りだと思います。2025/05/01
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