出版社内容情報
南北朝の激しい抗争の余韻が尾を曳き、不安定な世相が続いた室町時代。
大和猿楽座に生まれた世阿弥は、父・観阿弥が洗練させた能を受け継ぎ、辛苦を重ねて大成させた。
逃れられない“血”の宿命を背負い、「能」とだけ向き合って芸の道を究め、後世に残る真の芸術の粋へ高めた世阿弥の感動の生涯を描く傑作歴史小説。〈解説〉澤田瞳子
内容説明
南北朝の激しい抗争の余韻が尾を曳き、不安定な世相が続いた室町時代。大和猿楽座に生まれた世阿弥は、父・観阿弥が洗練させた能を受け継ぎ、辛苦を重ねて大成させた。逃れられない“血”の宿命を背負い、芸の道を究め、後世に残る芸術の粋へと高めた世阿弥の感動の生涯を描く傑作歴史小説。
著者等紹介
杉本苑子[スギモトソノコ]
大正14(1925)年、東京に生まれる。昭和24年、文化学院文科を卒業。27年より吉川英治に師事する。38年、『孤愁の岸』で第四十八回直木賞を受賞。53年『滝沢馬琴』で第十二回吉川英治文学賞、61年『穢土荘厳』で第二十五回女流文学賞を受賞。平成14年、菊池寛賞を受賞、文化勲章を受勲。29(2017)年没(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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ゆうこ
5
弟竹若の目を通して語られる観世能の盛衰と、政局に翻弄されながらも能にすべてを注ぎ生を全うした世阿弥元清のはなしでした。誰を愛することもできず、能にだけ自分の居場所を確保した藤若。藤若が世阿弥と呼ばれるようになっても、孤独が癒されることはなく、ひたすら能の世界にまい進する。この生き方が幸せなのかどうかはわからない。佐渡の配流から戻り『われに大力量あり、風吹かば、すなわち倒る』と言葉を残して穏やかに一生を閉じられたのなら満足のいく一生だったのだと思う。2025/06/02
なをみん
3
1964年発刊の田楽猿楽時代の観阿弥世阿弥 「能」小説。今時は使われなくなった漢字単語の美しさ。人間関係の網の目で語られる古典芸能の世界。時の権力者しだいの時代の芸能。思いがけず稚児遊びの生々しい描写を読んでしまった時の男性としてのあの気持ちも、逆にそんなんばかりであろう女性の立場を想像するよい機会かとも思ったり。「珍しさこそ、芸道の勝負に勝つ原則」とか「無用のことをせぬと知る心」とか日本芸能の源流で知る役に立つ話も。2026/03/27




