出版社内容情報
森鴎外「杯」
田山花袋「少女病」
立原道造「白紙」
永井荷風「庭の夜露」
山川方夫「昼の花火
泉鏡花「雪の翼」
夏目漱石「硝子戸の中」
中島敦「下田の女」
谷崎潤一郎「青い花」
芥川龍之介「なぜソロモンはシバの女王とたった一度しか会わなかったか?」
高見順「強い女」
堀辰雄「辛夷の花」
坂口安吾「いずこへ」
久生十蘭「姦」
太宰治「葉桜と魔笛」
内容説明
無垢な少女から妖艶な熟女まで―。〓外、花袋、荷風、漱石、谷崎、安吾、太宰たちが、憧れ、翻弄された女性たちを描く。女性は思春期を経て、恋愛・婚約・結婚に。悩みや荒みを抱えながら、やがては倦怠または不倫へと至ることも?時代の変化に応じて、社会的自立や自覚が芽生えた主人公の生きざまからは、近代日本の「女の一生」がみえてくる。
著者等紹介
長山靖生[ナガヤマヤスオ]
評論家・歯学博士。1962年、茨城県生まれ。87年、横田順彌らと古典SF研究会を創設、初代会長を務める(名誉会長・小松左京)。近代日本の文化・思想史から文芸評論や現代社会論まで幅広く執筆活動を行っている。96年、『偽史冒険世界 カルト本の百年』で大衆文学研究賞(研究・考証部門)、2010年、『日本SF精神史幕末・明治から戦後まで』で第41回星雲賞ノンフィクション部門、第31回日本SF大賞を受賞。19年、『日本SF精神史“完全版”』で第72回日本推理作家協会賞受賞(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
くさてる
15
明治から昭和にかけての文豪が女性を扱った短篇アンソロジー。現代とは性差への感覚的に違和感あるものも多いのだけど、女というテーマにこだわらず読めば、さすがの文豪揃いということで、面白みのある作品もありました。森鴎外「杯」田山花袋「少女病」久生十蘭「姦」太宰治「葉桜と魔笛」などが特に良かったです。2020/12/12
Foufou
10
太宰や安吾が文豪かはともかく、収録順が女性の年齢順になっているのがユニークといえばユニーク。さきがけが鷗外しんがりが太宰。女が書けている書けていないが書き手の技術の指標のようにいわれた時代もあったようだが、今そんなこといったら炎上必至。女性論のテイもなさない極めて恣意的なアンソロジー。吉行も川端や三島もなし、女性作家は皆無。収穫としては、谷崎の『青い花』と堀辰雄の『辛夷の花』を読めたこと、太宰の『葉桜と魔笛』を再読していまだ心動かされる自分を発見したこと。にしても漱石が享年四十九。長命の文豪の少ないこと。2023/04/25
you
5
全く読み込できず、よくわからない展開の話が殆ど。永井荷風、夏目漱石、谷崎潤一郎、堀辰雄等、一文で情景が鮮明に浮かぶ文豪もいれば、全く読み取れないものも多い。文豪は読み手のレベルを選ぶなあ。出直し再読決定。2020/10/13
chiro
3
文豪たちが書く「女」。女の心情を表現するのは不思議な事に男性作家の方が上手なのだろうか?と感じる。全作品楽しめたけど、田山花袋の「少女病」はラストが衝撃的、堕落についての考えが興味深い坂口安吾の「いずこへ」、太宰治の心に響く姉妹愛「葉桜と魔笛」が好き。泉鏡花は読みづらかったなあ。坂口安吾、もっと読んでみたい。2022/05/22
黒い森会長
2
200ページの中に、15人の作家の作品。「少女病」まさに「蒲団」の花袋だ。「庭の夜露」荷風の作品。まだ若い、「下田の女」若書きではあるが、中島敦のイメージを変える。「青い花」谷崎らしい物語。「いずこへ」勢いのあるうまい文章で最後まで読ませるが、よくわからない。安吾は合わない。「姦」十蘭は良い。「葉桜と魔笛」解説を読み、太宰の上手さを確認する。「雪の翼」鏡花は、声を出して読むと良い。圓朝などと同じ「語り」手と思う。2021/02/02