出版社内容情報
この作品には、小学校5年生から50代半ばまで、幅広い年齢層の女性たちが登場します。
読んでいくうちに、ご自分と近い「誰か」が見つかるのではないでしょうか。 彼女たちはそれぞれ、職場の人間関係や、睡眠障害、元彼のストーカー、娘の就活、子供ができない……などの問題に直面しています。ここで「あの人がいたから救われた!」「力を合わせて皆で解決!」という都合のいい展開にならないのが、著者の世界観。
では登場人物の葛藤が続くだけかというと、意外な人から思いもよらぬ「手」が差し延べられるのです。カフェという場でゆるやかに関わり合うだけでも人は変わっていける――読後、小さな、しかし確かな希望が胸に灯る小説です。
【登場人物】○のぞみ(27歳) お客。肌トラブルと職場の人間関係に悩む。○恵奈(小学校5年生) 店主・ヨシカの同級生、りつ子の娘。飼育栽培委員。○竹井さん(28歳) ランチのパート。睡眠障害気味。電車に乗れない。○ゆきえ(31歳) お客。仕事が忙しくて家事が出来ない。○とき子さん(50代半ば) 午後のパート。趣味は海外ドラマ鑑賞。○冬美先生(38歳) お客。ピアノ講師。子供が好きだが子供はいない。○ヨシカ(34歳) 店主。「ポースケ」を企画し、参加者を募る。
内容説明
奈良のカフェ「ハタナカ」でゆるやかに交差する七人の女性の日常。職場の人間関係や、睡眠障害、元彼のストーカー、娘の就活、子供がいない…人生にはままならないことが多いけれど、思わぬところで小さな僥倖に出逢うこともある―。芥川賞受賞作『ポトスライムの舟』五年後の物語。
著者等紹介
津村記久子[ツムラキクコ]
1978年大阪府生まれ。大谷大学文学部国際文化学科卒業。2005年「マンイーター」(改題『君は永遠にそいつらより若い』)で太宰治賞を受賞し、小説家デビュー。08年『ミュージック・プレス・ユー!!』で野間文芸新人賞、09年『ポトスライムの舟』で芥川賞、11年『ワーカーズ・ダイジェスト』で織田作之助賞、13年「給水塔と亀」で川端康成文学賞、16年『この世にたやすい仕事はない』で芸術選奨新人賞、17年『浮遊霊ブラジル』で紫式部文学賞を受賞。著書多数(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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