内容説明
フィジー人、インド人、日本人、中国人…。雑多な人種が陽気に暮らす南国の楽園・フィジー。そんな日常をクーデターが一変させてしまう。観光業が一気に傾斜して国全体が不穏になっていく中、浮き彫りになる民族的な価値観の対立。それは次第に衝突の気配を孕み出して―。幸せの意味を問い続ける著者、渾身の長篇小説。
著者等紹介
垣根涼介[カキネリョウスケ]
1966年、長崎県生まれ。筑波大学卒。2000年『午前三時のルースター』でサントリーミステリー大賞・読者賞をダブル受賞し、デビュー。04年、『ワイルド・ソウル』で大藪春彦賞、吉川英治文学新人賞、日本推理作家協会賞と、史上初のトリプル受賞に輝き、05年には『君たちに明日はない』で山本周五郎賞、16年には『室町無頼』で「オール讀物」主催“本屋が選ぶ時代小説大賞2016”及び「週刊朝日」“2016年歴史・時代小説ベスト一〇”第一位を受賞(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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じゃに
16
垣根先生らしい一冊。さらっと読めるんだけど、幸せって何だろう?と考えさせられる作品でした。何も考えずに訪れてはみたい場所ですけどね。2020/08/24
sayan
14
著者の作品は「人間ドラマ」とニッチな国を舞台にした「多文化ドラマ」に分かれるという。本書はフィジーという国を舞台に若者4人の生き様を描く。個人的には「ヨシ」を起点にしたストーリー展開が一番テンポよく読みやすかった。また、かつてイギリスが統治したフィジーの歴史を「資本主義的な労働の倫理」で語り今を見る視点と、その今を支えるフィジー人(先住民)の価値観を「飢え」というキーワードで語る箇所は非常に刺激的で面白かった。ところで著者のニッチな国を題材にした小説はほとんど読んだことなく、次回以降是非手にとってみたい。2018/05/04
かぴけろ
13
よくも悪くも、フィジーという国への価値観が少なからず変化した。とはいえ訪れたい国であることに変わりはないが。 自分達の国なのに、なぜあとから踏み込んできた者達がいい暮らしをしているのか。彼らのせいで自分達が貧しい、苦しいと思っている。 そういったことが原因で起こった悲惨な争いや不幸な事件は、枚挙にいとまがない。 実際に、原因としてどちら側が大きいかはその時々だが、やはり、フィジアン?のこの行動は理不尽に思われるなぁ。 とってもよく観察されているようで、人種や背景、国民性についても大変勉強になりました。2017/11/04
コニタン
7
フィジーという国を知ることが出来た。それだけかな、この小説を読んだことで、旅行の行き先のリストから外している心の冷たい私です。2019/07/24
ウッチー
6
現地フィジー人、インド系、中国系移民者や日本人などが生活し、考え方や経済格差がある中で人種を超えた恋愛、友情だけでなく衝突も起こる。価値観の違いは難しい問題ではあり、一緒に生活したり働いていたりすれば、衝突するのもわかる気がする。フィジー人の性格は大らかで人間味があって良いが、日本人の性格を持っていると一緒にいるのは難しいかも!😅2025/01/05