中公文庫
切支丹の里 (新装版)

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  • サイズ 文庫判/ページ数 197p/高さ 16cm
  • 商品コード 9784122063075
  • NDC分類 198.221
  • Cコード C1195

内容説明

踏跡で黒ずんだ一枚の踏絵を見た感動から、基督教禁止時代の殉教者よりも、棄教した宣教師や切支丹の心情に強く惹かれた著者。島原などの隠れ切支丹の里を訪ね歩き、基督教が日本の風土と歴史の中で変貌していく様を真摯な取材と文献の中から考察する。名作『沈黙』を貫く著者独自の思想がうかがえる紀行・作品集。

目次

一枚の踏絵から
日記(フェレイラの影を求めて)
横瀬浦、島原、口ノ津
有馬、日之枝城
雲仙
弱者の救い―かくれ切支丹の村々
父の宗教・母の宗教―マリア観音について
母なるもの

著者等紹介

遠藤周作[エンドウシュウサク]
大正12年(1923)、東京に生まれ、神戸に育つ。昭和25年、戦後初めての留学生として渡仏、リヨン大学で留学生活を送る。昭和30年、「白い人」により第三十三回芥川賞を受賞。昭和41年、『沈黙』により第二回谷崎潤一郎賞を受賞。平成7年(1995)、文化勲章受章。平成8年9月、死去(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー

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Die-Go

71
名著『沈黙』を読み解く上でこの一冊は大きな助けになるだろう。かくれキリシタンの迷いや痛みを、これでもかとたたみかけてくる。『沈黙』で言いたかったことって実はこの本読んでれば分かって来ちゃうかも知れないな。人間を観察し、考察し、深くえぐるように掘り返すその作業は並大抵のことではできないだろう。読んで良かった。★★★★☆2017/02/27

優希

52
『沈黙』を描くきっかけとなったエピソードが述べられています。隠れキリシタンとならなければならなかったため。本来のキリスト教とは離れた教えになってしまったのは興味を引きました。隠れる必要がなくなっても自分たちの信仰を頑なにしたのが印象的です。日本的キリスト教の歴史を見たようでした。2021/05/10

ひなきち

27
長崎にまつわる、地理・歴史・自伝的要素が入った、遠藤周作氏の思想作品集。転んだ者(踏み絵を踏んで棄教した者)の、精神的葛藤を追う取材は、読んでいて胸が苦しくなる。だが、弱者は弱者だと切り捨てないところに、著者の慈愛を強く感じ、心うたれた。隠れ切支丹の「母の宗教」説に納得。悲劇の地となってしまった長崎を、違った観点で知ることができた。いつかこちらの本を片手に、再訪できたら…と思っている。2016/12/24

はじめさん

26
不勉強で申し訳ないのですが、遠藤周作作品は読んだことがなく「沈黙」は映画を鑑賞しました。が、この一冊は小説ではなく、遠藤氏が長崎五島列島でかつての殉教者の軌跡をたどり、かつ現代において生き残っているカクレキリシタン集落への取材。本来の流れから変化した教義を、熱心な信徒であった母と、その影響で洗練を受けた自分のなかのキリスト教の違いと照らしたり、カクレのマリア観音への崇拝…裁く父性たるデウスではなく優しく包み込む母性たるマリア観音…ふむ。/ 地元民や正当なカトリックにどこか蔑まれ、若者は島を離れてゆく…。2020/02/21

ラテちゃん

25
読み友さんから拝借。沈黙を書く際長崎に何度も足を運んだ遠藤さんの紀行文プラスアルファ。作家さんとはこんな風な視点で旅してるのかと興味深かった。2017/09/12

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