内容説明
何者かに「オジいサン」と呼ばれたことを寝床で思い出した、とある朝。推理したり慌てたり、調子に乗って反省したり。若ぶらず、気弱にもならず―寄る年波をきっちり受け止め粛々と暮らす、益子徳一(72)の一週間。
著者等紹介
京極夏彦[キョウゴクナツヒコ]
1963年生まれ。94年『姑獲鳥の夏』でデビュー。96年『魍魎の匣』で第49回日本推理作家協会賞(長編部門)、97年『嗤う伊右衛門』で第25回泉鏡花文学賞、2003年『覘き小平次』で第16回山本周五郎賞、04年『後巷説百物語』で第一三〇回直木三十五賞、11年『西巷説百物語』で第二四回柴田錬三郎賞を受賞(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
mae.dat
232
オジいサンの無味乾燥な日常7日間。一日当たり28分〜1時間26分の出来事で構成され、合計5時間44分間の物語。特別な事は何一つ起きないの、只々時間が消費されるだけ。それで一冊の本が成立するとは。主人公益子さんは齢72と6箇月なのです。身体に痛い所とか融通が利かない所も殆ど無い様で、老眼が進んだ程度と言うのが羨ましい。男鰥に蛆が湧くでは無いですが、儂なら自堕落な生活に陥りそう。小ざっぱりした生活を営んでいる様で。ミニマムな生活(予想)良さげです。あっ、ラストは少なからずのドラマがありました( ¨̮ )。2022/07/15
じいじ
96
益子徳一72歳・独身。少々、頑固だがインテリジェンスの持ち主で面白い爺ィさんです。社会情勢や政治にも興味がないわけじゃないが、テレビは見ない新聞だけで十分だ、とおっしゃる。読んだ新聞は、きちっと畳んで日付順に揃えて仕舞う几帳面さは見習いたい。年寄りは足腰が弱いから注意しろ!と警鐘を鳴らす徳一さんだが…。私は昨秋、大転倒して圧迫骨折してしまった。1年早くこれを読んでおけば、転倒を防げたかもしれません。物事にくよくよせずに、毎日を暮らす徳一さんを手本に、私もこれからの人生を一生懸命に生きていこうと思います。2020/11/10
takaC
86
オジいサン、前より怖い風貌になってるし・・・2017/04/02
優希
82
文庫で再読です。「オジいサン」と呼ばれたことを思い出したのをきっかけに始まる日常の物語。今現代のことはわからずも、昔を思い出しながら若ぶることもなく、気弱になることもなく、自分らしさを貫く姿勢が格好良いですね。歳はとるもの。それをしっかり受け止めて粛々と過ごす時間がやがて訪れるのだなと思いました。2018/07/21
紫綺
73
角川文庫にて読了。へ理屈こねこね、メンドくさい「オジいサン」益子 徳一 72歳6箇月 独身独居。だが人間的に嫌いではない。真面目に淡々と生きる徳一の「オジいサン」日記である。たま~にクスッと笑えるほのぼの系。2021/12/20
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