内容説明
紫煙のなかの太宰治、織田作之助、坂口安吾。そして川端康成、谷崎潤一郎、志賀直哉、三島由紀夫ら、日本を代表する文豪たちがモノクロ写真のなかで微笑み、ときにこちらを見つめ返す。レンズを通して作家とその時代を鋭く捉えた、伝説の写真文集、待望の復刊。
目次
川端康成
谷崎潤一郎
坂口安吾
太宰治
織田作之助
田中英光
志賀直哉
廣津和郎
宇野浩二
正宗白鳥〔ほか〕
著者等紹介
林忠彦[ハヤシタダヒコ]
大正7年(1918)、山口県徳山市(現・周南市)生まれ。昭和10年、徳山商業学校卒業後、大阪「中山正一写真館」に住み込み、修業。12年、上京してオリエンタル写真学校入学。14年、東京光芸社入社、写真家活動を始める。17年、華北広報写真協会の一員として北京に渡る。21年、東京に引き揚げ、仕事を再開。22年、秋山庄太郎、植田正治らと写真グループ「銀竜社」を結成。28年、二科会写真部創立会員となる。36年、日本写真家協会副会長に就任(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。
感想・レビュー
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michel
19
★4.5。痺れる!とにかくカッコいい!昭和21~46年間に、写真家の林忠彦さんが撮影した文士たち。林さんが、彼らを愛おしく見つめるように撮った写真とそれに添えた文章。そこからは、文士たちの個性や生活の匂いなどが温度を感じるように伝わってくる。そこに私自身も一緒にいるような錯覚に陥る。ずーっとずーっと、ナデナデしながら見つめていたい写真集だ。2020/09/09
冬見
11
『カストリの時代』で林忠彦に興味を持って、先日出版された写真集も手に入れた。こちらは文士の写真とともにショートエッセイが添えられている。写真のことは全然分からないし、見ることに関してもド素人だけど、この人の写真はとてもおもしろい。時代の息遣いを感じる。紫煙を纏った高見順の神経質な横顔が印象に残っている。2018/04/05
glaciers courtesy
7
昭和の文豪たちは、なんて頭が良くて、ナイーブで、自分に刃を向けていて、その人生そのものが表現で、カッコ良いのだろうと感心する。別に現代の作家たちが悪いのではないが、もっと現代の作家は職業的というか、エンターテイメント的というか、読者を楽しませるためによくプロデュースされ過ぎているのじゃないか、とも感じる。現代はあらゆる業界、局面で受け手が甘やかされ、より分かりやすく、よりエンターテイメント性の強いものしか受け入れられない世の中になりつつあるんじゃないか。この時代の表現はもっとヒリヒリしているように感じる。2020/08/23
sasha
4
「文士」という言葉自体が既に死語か。銀座のバー「ルパン」で林氏が撮った太宰治の写真は撮影者を知らずとも作品には見覚えがある人も多いんじゃないのかな。以前に出た朝日文庫版も持っているが、今回は増補版ということで迷わず購入。どの人物もその人の持つ特徴・雰囲気がしっかり捉えられている。夜のビル街を背景に煙草に火をつける三好徹の写真なんてそのまま何かのポスターに出来るようで素敵だ。写真を眺めるだけでもいいが、作家たちとの思い出を綴った林氏の文章もいい。2014/11/30
デューク
3
川端康成、谷崎潤一郎、坂口安吾、太宰治などなど、昭和の時代を彩った数々の文士たちのスナップ写真集。その人の内面まで浮かび上がらせるような、けれんみのない写真の数々に息を呑まされる。写真って面白い、写真って恐ろしい。そんな2つの感情を、何の矛盾もなく感じさせてくれる。カメラマンなら一度は読むべき一冊。おすすめ。2014/12/16
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