出版社内容情報
互いを認め合う小太郎と勘助、冬之助は、いつか敵味方にわかれて戦おうと誓い合う。扇谷上杉軍へ攻め込む北条軍に同行する小太郎が、戦場で出会うのは――。
内容説明
互いを認め合う小太郎、勘助、冬之助は、いつの日か軍勢を率いて、戦場で相見えようと誓い合った。ある日、足利学校に残った小太郎の元へ「帰国せよ」との報せが届く。北条氏綱が大兵を率い、武蔵を掌握すべく扇谷上杉氏へ攻め込むのだ。いよいよ出陣の時を迎えた小太郎が、戦場で目にしたものとは―。若き軍配者たちが、乱世を駆け抜ける!
著者等紹介
富樫倫太郎[トガシリンタロウ]
1961年、北海道生まれ。98年に第四回歴史群像大賞を受賞した『修羅の跫』でデビュー(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
W-G
322
展開がわかっていたので一気に読了。小太郎が帰国してからに、後のシリーズと若干の齟齬がある。この時点ではサーガの構想もなく、作家として崖っぷちで、最後のつもりで書いたらしいので、仕方のないことか。全体として、やはり鷗宿が登場すると盛り上がるという印象を強く持った。小太郎単体では、清々しい好青年ぶりは上手く描写出来ているものの、軍配者としての切れ味は打ち出し切れておらず、少し弱い。高輪の戦いも、氏康シリーズでの描かれ方の方が良いと思った。『結びに代えて』での、次作への期待の持たせ方はかなりワクワクして好き。2021/06/15
yoshida
205
16世紀前半「軍配者」は「軍師」ではなかった。一つの大名家で数名の「軍配者」がおり、吉凶を判断する者、軍事の作戦立案をする者に役割が別れる。軍事能力に欠ける者が一手に役割を担い、影響が大きい場合、勝てる戦も敗れる。北条家の金石斎がその例だ。小太郎が軍師の役割を担い、氏綱・氏康という英邁な君主があり、北条家は関東を制覇する。そう、秀吉が竹中半兵衛と黒田官兵衛を擁し天下に覇を唱えたように。そして若き武田晴信が山本勘助を擁す。扶桑随一である武田騎馬軍団が近隣諸国を征す。いよいよ「信玄の軍配者」が始まる。面白い。2017/09/05
あさひ@WAKABA NO MIDORI TO...
109
発読みの作家だが、面白かった。占術や兵法を用いて戦の全体を取り仕切る軍配者を描いた3部作の始まりで、小太郎、勘助、冬之助の若々しい純粋な姿が描かれていて共感しやすい。第1部は北条早雲に見込まれ、後の北条氏康の時代を見据えて軍配者への道を歩み始めた小太郎。足利学校で出会った後の山本勘助や蘇我冬之助とともに切磋琢磨して成長していく姿が瑞々しい。後の戦であいまみえることになるのか含みを残したラストも気になります。残りの2作も読まないと。2019/06/29
再び読書
77
いきなり四郎左の危機から始まり、呆気に感じた早雲の死に驚き、早雲に注目していたぼくは残念に感じる。足利学校の三人がそれぞれ軍配者の道に進む序の巻に感じる。お互いが、三国に分かれて知恵を尽くし、雌雄を決する戦いが楽しみだ。まずは一番素直な小太郎から始まり、四郎左、冬ノ助に繋がる。また楽しみなシリーズが出来ました。千代丸が後の氏康というのも興味深い。また余談だが、風間三姉妹や風魔の小次郎を思い出し、少し面白かった。2016/07/20
yasunon
72
相性:★★★☆☆ 抜粋:永正16年(1519年)の秋、三人の若者たちは軍配者となって再会することを誓った。 所感:上巻に続いて、足利学校での青春学園生活から、高輪の戦いへ。足利学校のストーリーに対する熱量と比べると、その後の展開はあっさりめに感じた。後半部分の補完は続編に期待したい。タイトルの『早雲の軍配者』には少し違和感が残った。早雲が見出し、育てた軍配者ではあるけど…。氏綱に負けず劣らず、小太郎も早雲の教えをしっかりと身に付けている。本作の二大ポンコツ、根来金石斎と上杉朝興のダメダメっぷりも見物。2022/07/02
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