中公文庫
義理と人情―日本的心情の一考察

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  • サイズ 文庫判/ページ数 262p/高さ 16cm
  • 商品コード 9784122058118
  • NDC分類 150.21
  • Cコード C1195

出版社内容情報

日本社会の構造や日本人の心情のと切り離せない二つの感情――義理と人情。本書は、西鶴、近松などからその関係を辿り、変遷を読む

内容説明

日本社会の構造や日本人の心情の秘密を解く鍵である義理と人情。しかしその正体をつかむのは難しい。「義理と人情の板挟み」といえば、両者は対立するが、「義理人情を解する」では必ずしもぶつかり合うものでもないだろう。本書では、この二つの心情の形成と変容を丁寧に辿り、日本人とは何か、という問いに迫る。

目次

1 「情と共感」の文化―日本的ヒューマニズム
2 義理の構造―個別主義的社会の人間関係(義理とは何か;義理的事実と義理の観念)
3 義理と人情の文学―『武家義理物語』から『人生劇場』まで(西鶴にみる義理と人情;近松にみる義理と人情;近松以後(1)―浄瑠璃の世界
近松以後(2)―人情本と読本の世界
明治以後―泉鏡花と尾崎士郎)

著者等紹介

源了圓[ミナモトリョウエン]
1920(大正9)年、熊本県生まれ。1948年、京都大学文学部哲学科卒業。日本女子大学教授、東北大学教授、国際基督教大学教授を歴任。現在、東北大学名誉教授。日本学士院会員。歴史学、とくに、近世日本思想史が専門(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

isao_key

10
1969年に中公新書で刊行されたものを新たに中公文庫化した。最近かつての中公新書の古典を新書として復刊しているが、いい取り組みだ。かつての中公新書は学術的に優れた骨太なものが多い。本書ははじめに、で義理の研究は、従来社会現象の研究が多かったが、本書では精神現象も明らかにしたとある。例えば<好意に対する返し>が義理基本的性格であるが、どのような意識の下に返されるかということが義理の性格を明らかにする上で非常に重要だとしている。その上で、日本社会の中である程度の平等性がなければ義理の観念は成立しないと述べる。2016/04/11

てれまこし

8
表は一律の制服なのに裏地に凝る。この裏地文化は日本の抵抗形態である面従腹背に通ずる。この裏地文化の一表現が完全な社会化から自我を守るものとして人情の原理じゃないか。建前に対する本音としての人情。そんなことを考えて手に取った本書によると、義理/人情が公/私に対応するようになるのは江戸中期以降であり、たぶん裏地文化の発展と軌を一にしてる。それ以前は義理と人情はどちらも内面原理である。近松が境界線。ゲマインシャフト(共同体)においては両者は区別されにくい。ゲゼルシャフト(利益社会)が二つを対立するものとした。2020/09/04

うえ

6
「義理と人情の葛藤が『心中天の網島』のライトモティーフである。義理は、ここでは因襲的・形式的な社会規範ではなく、むしろ人間関係における一種の心情である。このようなモラルが、カントの至上命令によって代表される近代の個人主義的・人格主義的規範と異なることは、あらためていうまでもない」「第一部において日本のヒューマニズムの欠陥と思われるものを多く批判し反省したきたが、そのことは…西欧の近代文化が完全なものであることを意味しない…自己閉鎖的なアトムとしての個人からの脱却が…西欧人にとっていかに必死の課題であるか」2019/10/11

じろう

0
50年近く前の本である。はたしてその頃に義理と人情を考察した本が現代の読書に耐えられるのか、義理と人情も変質したのではあるまいか。だけれどさすが復刻されただけあって古くはない。ただ書かれた頃よりさらに他者に対する共感と言うものが減ってきているように思う。 三部の義理と人情の文学は解説がうまく西鶴や近松の「女殺し油地獄」や「心中天の網島」が読みたくなった。優れた評論である証明である。2017/05/04

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