内容説明
世界から勤勉の美徳を賞賛されてきた日本人が、安直な方法論と手近な満足感を求めるようになってしまった。いま起こっている問題の多くは、「労せず功を得ようとする風潮」に原因がある。すさまじい努力で道を切り拓いていった同胞偉人たちの姿を鮮烈に紹介し、現代人に活を入れる、著者渾身、読者瞠目のスーパー・エッセー。心して読まれたい。
目次
第1章 立志編
第2章 精進編
第3章 三昧編
第4章 艱難編
第5章 成就編
著者等紹介
斎藤兆史[サイトウヨシフミ]
1958年、栃木県生まれ。東京大学文学部英語・英米文学科卒業。同大学院人文科学研究科英語英文学専攻修士課程修了。インディアナ大学修士課程修了。1997年、ノッティンガム大学博士課程修了。東京大学教養学部助教授、同大学院総合文化研究科教授などを経て、同大学院教育学研究科教授(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
出世八五郎
11
偉業を成し遂げた人物を取り上げ、青雲の志や偉業達成までの経緯に努力という観点から追う。努力とはエリア51曰く『目標達成への近道は毎日積み重ねることだ・・・』と聞きますが、まさにそれら偉人が網羅されている!努力に限らず事を成すには必ず困難が生じる。著者の主張は、努力軽視に対する風潮に激を飛ばしたいからで、本書は論でありマニュアルではない。ただ、エリア51の証言がある通り既にマニュアルは出来ている。拾いは大漢和辞典を作った諸橋轍次博士を知ることが出来たこと。 私が今から児島襄著作全巻を読む事で得る事はあるのか2014/03/05
パブロ
11
そんじょそこいらの自己啓発本なんか鼻くそだぜ! この本は英語のスペシャリストが、新渡戸稲造、河口慧海、幸田露伴などなど、昔の偉人たちがいかに努力をして成長し、自己を勝ち取ったかを克明に描き出す。その血と汗と涙の結晶を読んでいると、「自分はなんて楽な道ばかり進んでいるのか」と絶望の淵に陥れられてしまうこと必至!! やっぱり「才能はきっとひょんなきっかけで出てくるはずだ」なんてことはないんですよ。高い目標を持ち、修行に打ち込み、壁にぶつかっても乗り越えて、無我夢中で取り組むこと。背筋が3センチ伸びました。2013/11/15
KAZOO
5
この著者のモノは結構読んでいるのですが、最初のころは英語の勉強法や英語学の歴史が多かったように感じますが、最近は同じ姓の斎藤孝さんに似てきたような気がしています。最初はちくま新書で出版されていたようですが、決定版ということでこの本になったようです。最近は日本の偉人伝などを子供たちもあまり読まなくなってきているのでこのような本で啓蒙を図ってもらうのもいいのかもしれないと感じています。2013/04/01
清作
5
多くの日本人が労せずして功を得ようとするようになってしまった現代日本を憂える著者が読者に、日本の偉人たちの努力の姿を通して本来日本人が持っている勤勉の遺伝子を奮い立たせる一冊。努力を自覚しているうちは努力と言えないという言葉が特に印象に残った。本書を読んで、自分の中で眠っている勤勉の遺伝子が間違いなく活性化した。今後ダラけてきたときなど何度も読み返したい。本書で紹介されている参考文献や著者の他の著書も読んでみたいと思った。2013/04/09
霊滅術師 カイクウ
4
35歳にして日本人で初めてチベットに入国し、そこで多くの資料を日本に持ち帰り、80歳で死ぬまでにおいて独身・菜食・清貧の生活を貫きながら、多くの著作を発表し続けた仏教学者の河口慧海の話を読んだら、人間は何をしたっていいんだなという気持ちになった。それは、人間は遊ばなくても全く構わない上に、成功を目標にしたり成功者達を羨ましがる必要もないんだなと思ったということです。河口慧海はとにかく努力していた(努力を努力と思わない所まで行っていた)が、それは将来の成功や贅沢のためにやっていたわけではない。努力のために2023/02/18