内容説明
ウナギに豆腐、駕篭宿、駄菓子屋、一膳飯屋、さまざまな店が軒を連ねて紡ぐ、涙と笑いの十二か月。豆腐屋の女房が秘める意外な過去、母の死後すぐに後妻を迎えた父を許せぬ姉妹が知った真実とは―。お江戸深川冬木町、家族と町のあたたかさが骨身にしみる。著者真骨頂の人情物語。
著者等紹介
山本一力[ヤマモトイチリキ]
1948年高知市生まれ。東京都立世田谷工業高校電子科卒業。旅行代理店、広告制作会社勤務などを経て、97年「蒼龍」でオール讀物新人賞を受賞しデビュー。2002年『あかね空』で直木賞を受賞(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
財布にジャック
53
久しぶりの一力さんですが、安定した江戸物でした。ハズレではないのですが、短編集なせいなのかさらっと読めてしまい長編のような感動はありませんでした。しかし、江戸の日常の一コマを切り取った短編の数々なので、和みたい方には最適かもしれません。中でも駄菓子屋さんの徳兵衛さんは印象に残る魅力的な人物でした。2013/03/10
ともとも
22
江戸時代の時代背景、12景(12か月間)といった季節感などを 感じさせつつも、ちょっとしたミステリーのような意外な過去と謎に 物語を深めさせながらも、ワクワクさせられてしまいました。 そして、登場人物の悲喜交々且つ家族、まねき通りの人々が他人だけど、 まるで家族のように描かれていて、それが物語のスッキリさせるだけでなく 人の温かで綺麗な部分触れ、そして人は一人では生きられないというこを 改めて思い知らされながらも、この人情味溢れる物語の感動、感情、気持ちだけは、けして忘れたくないと思ってしまいました。 2015/05/08
ともくん
21
江戸深川冬木町のまねき通りの一年を情緒豊かに綴った一冊。 人情物語を描かせたら山本一力の右に出る人はいないと思う。 ただ、この作品は短編集だったのでひとつひとつの話が中途半端になってしまっていたのが残念。2018/05/05
つねじろう
19
お江戸の様々な職業、職人を描くのはこの作者の十八番。それをまねき通りに集めたお得バージョン。江戸っ子気質、職人気質を男っぷり女っぷりの良い登場人物達の生活と下町の景色を通して描く。見栄っ張りとやせ我慢、気風と粋、威勢と愛想、歯切のいい物言いとひっつめ髪の艶姿、てやんでい、がってんだと読んでるうちに自分が江戸っ子になった気になる。どれも良いが、初天神と祭半纏がお気に入り。2013/01/12
コージー
17
まねき通りに住む温かい人々の物語。自分が江戸時代に暮らしていたら、どんなだったかなあ。ちょっと最近憧れてしまう。2017/08/26