内容説明
「こーとろ、ことろどの子をことろ」。子とり鬼のわらべ歌と鬼女伝説が伝わる街・夜坂。夫を亡くし、娘と二十年ぶりに帰郷した千鶴は、幼なじみの娘が殺されたと聞かされる。その状況は、二十二年前に起きた事件とそっくりだった。その後、幼児が殺される事件が相次ぐ。鬼の正体はいったい誰なのか。
著者等紹介
今邑彩[イマムラアヤ]
1955年(昭和30)、長野県生まれ。都留文科大学英文科卒。会社勤務を経て、フリーに。1989年(平成元)鮎川哲也賞の前身である「鮎川哲也と十三の謎」に応募し、“十三番目の椅子”を『卍の殺人』で受賞。以降、推理小説を中心にホラーなどを手がける(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
夢追人009
313
今邑彩さんの第5作は初の童謡殺人テーマの鬼気迫る傑作ですよ。本書には物理トリックも警察の捜査も全くありませんが、今邑さんがこれまでのイメージをぶち破って殻を脱ぎ捨てようと試みたような異様な迫力を感じまして、文句なしにこれ迄で一番恐ろしい物語だなと思いましたね。本書の原題は「通りゃんせ殺人事件」ですが、元々の内容から物語で扱われる童謡を「ことろ(子とり鬼)」に変更されておりまして、前作は未読ですが素晴らしい怖さに効果が倍増していそうだなと思えるのですね。「こーとろ、ことろ、どの子をことろ~赤いべべ着せよ…」2022/02/25
モルク
117
鬼女伝説が残る町に夫を亡くし娘をつれて帰ってきた主人公。そこで、幼馴染みの子供が殺害されていたことを知る。その状況は22年前のある事件とそっくりだった。それから次々と幼馴染みの子供たちが殺されていく。ホラーというよりミステリー。犯人の目星はつきやすい。そして全てはエピローグにてすんなり納得。今邑さんの筆力が全てを包み込む。一番怖いのは、田舎の閉鎖的な感覚と、疑心暗鬼そしてどろどろの嫉妬。でも最後まで主人公とその娘を好きになれなかった。2019/03/12
ま~くん
106
神社の古井戸から絞殺された幼女の遺体が発見される事件が発生。警察の捜査をかいくぐり犯人はまだ捕まっていない。そして22年後、又も幼女が同じ手口で殺された。殺人鬼が再び動き出したのか。その後も立て続けに小学生の幼女が殺されていく。この町には娘を殺された母親が悲しみのあまり鬼女となり子供を殺していくという古い言い伝えが残っていた。真相は余りにも酷くやり切れない理由からだったが、最後に22年前の犯人が明かされた時は、負の連鎖の恐ろしさをまざまざと見せつけられた。犯人の凶気は理解不能。この作家さんは外れがない。2022/03/13
セウテス
104
衝撃の真相が描かれたエピローグ、そしてプロローグに戻って沈黙。理詰めで犯人が解る訳ではないが、伏線とわざと半分隠してある人間関係から予想は出来る様になっている。それも見事な構成であるが、かなりの衝撃を受ける。最も恐いもの、それは人間なのか。夫を事故で亡くし、小さな娘と故郷に帰ってくる主人公。そこは20年前に少女が絞殺された、嫌な思い出のある場所だった。更には1年前にも親友の娘が絞殺されており、帰郷と同時に友人の子供たちが殺されていく。理不尽に子供を奪われた、母親の怒りが狂気に変わる、そんな描写が辛かった。2018/09/24
ちーたん
93
★★★★☆夫を事故で亡くし、昔住んでいた町に娘を連れ20年ぶりに帰郷する千鶴。幼なじみ達も皆家族を持ち、親となっていたが、幼なじみの一人滋の娘・みちるが1年前に何者かに絞殺され未だ未解決だと知らされる。それは幼かったあの日の記憶と重なる事件…◆鬼女伝説。幼女連続殺人+動物被害。罪なき者が狙われるので気分は良くない。しかも心無いセリフ回し&悪態ぶりが炸裂してるので誰にも共感出来ない。…だがそれでいい。だからどんどん先に進むんだwそんなリーダビリティもいいじゃないか!今邑さんらしい!555冊達成✨2020/09/07
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