内容説明
おばあちゃんは、あなどれない―果敢、痛快、エレガント。75歳の行動力に孫娘も舌を巻く。味わい深くユーモラスに、年齢を重ねてこそのしなやかな境地を描く。チャーミングで心ほぐれる家族小説。
著者等紹介
井上荒野[イノウエアレノ]
1961年東京生まれ。成蹊大学文学部卒。89年「わたしのヌレエフ」で第一回フェミナ賞受賞。2004年『潤一』で第一一回島清恋愛文学賞、08年『切羽へ』で第一三九回直木賞、11年『そこへ行くな』で第六回中央公論文芸賞を受賞(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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しんごろ
189
75歳のおばあちゃんの日常の話!実際にイタズラ(意地悪)されたら腹立たしいが、自分がイタズラ(意地悪)されなくて良かったと、まずはそう思いましたね。静子なるばあちゃん、まあ、元気!元気!しかも好奇心旺盛!それでもって積極果敢なんですが、時に亡くなった主人を振り返ったり、ただの意地悪ばあさんではないんですよね(^^)孫娘も一目置くだけのことはあるわ(笑)息子、嫁さん、孫娘も含め家族仲良いことはいいことですね(^^)静子ばあちゃんだけでなく息子、嫁さん、孫娘の話も出てさっくりと読めほっこりします(^-^)2016/11/06
おしゃべりメガネ
159
ほぼピッタリ10年ぶりの再読です。新聞に紹介されていて、またふと読みたくなり、手にとりました。主人公は75歳の至ってフツーのおばあちゃん。スイミングスクールにぼちぼち通い、のんびりと過ごしています。しかし、このおばあちゃん、孫娘からするととにかく'あなどれない'んです。息子のチャラついた浮気を見破り、孫娘の恋心も見抜くスーパーおばあちゃん。タイトル通り、そんなおばあちゃんの日常を淡々と綴っています。「静子」おばあちゃんが、とにかくチャーミングで魅力的すぎます。こんなおばあちゃんとお話してみたいですね。2020/11/17
ちょろこ
119
憧れが止まらない、一冊。静子さんは75歳。年齢にとらわれない柔軟性、行動力。そしてしっかりとした自分の芯を持っている。その魅力にたちまち虜にされた。毎回ちょっとした問題に立ち向かう静子さん。その時々の心情、つぶやく言葉には何回もハッとさせられ、かつ、心にしっかりと刻みたくなるほどだった。それもこれもいろいろな経験をしたからこそ。もちろん幸せばかりじゃない、自分を押し殺していた日々があったからこそ…。読了後はやっぱり静子さんのような柔軟さ、行動力に憧れが止まらない。2019/12/27
なゆ
109
再読。宇陀川静子、七十五歳。魅力的なおばあちゃんが出てくる小説は数あれど、私は静子さんがいっちばん好き。上品でキュートで好奇心旺盛で行動派で謎めいてて、でもわりと自然体で。とにかくお茶目なおばあちゃま。クサクサしている孫娘のるかには明るい青春を、そして危うかった息子夫婦にはハッピーを、素知らぬ顔で導いてしまうのだ。長年の秘かな想い人大五郎さんとの事も、きっちりと切ない。とても井上荒野さんが書いたとは思えないくらい(笑)、たおやかで凛として気持ちのいい静子さん。いつか私もこういうおばあちゃまになりたい♪2016/09/10
じいじ
97
75歳、背丈は155㎝と小柄なれど、元気溌剌で行動力に長けたの静子さん。下戸の夫を見習って、50年間の禁酒を誓 います。その夫の通夜にともに頑張った夫を偲んで、一人酒する静子にグッときました。姑と一人っ子長男・嫁との「カケ引き」が絶妙で面白のも、見どころの一つです。静子の気風の良さに惚れました。遺された男と女…精神力の強さで、女性の勝ち!ですね。2022/03/24