内容説明
隋文帝の治世に確立した律令官制を核とする律令体制・中世貴族政治は、安史の乱を境に崩壊し、身分社会は消滅した。唐宋の変革である。その契機は、節度使や財務諸使などの令外の官「使職」の設置と「辟召制」の復活であり、その「辟召制」が再び消滅した宋初に近世の文人官僚政治が成立する、と説く。『唐の行政機構と官僚』に先行する論攷。
目次
「安史の乱」前後の唐
黄巣と馮道
五代・北宋の中国―国都・開封の頃
三司使の成立について―唐宋の変革と使職
中世貴族制の崩壊と辟召制―牛李の党争を手がかりに
唐代使院の僚佐と辟召制
唐末五代の変革と官僚制
著者等紹介
砺波護［トナミマモル］
１９３７（昭和１２）年、大阪府に生まれる。６０年、京都大学文学部史学科東洋史学専攻卒業。京都大学人文科学研究所助手、神戸大学文学部助教授、京都大学人文科学研究所教授、同大学大学院文学研究科教授を歴任。２００１（平成１３）年、停年退官。京都大学名誉教授。のち九年間、大谷大学教授。文学博士。専門は中国の政治・社会・宗教史（本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです）
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感想・レビュー
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おらひらお
3
2011年初版。南北朝時代以来続く貴族制が唐の終わりとともに終焉を迎えることを指摘。2017/03/21
朝霧 紅玉
2
本書は同著者の『唐代社会政治史研究』という専門書の第１部を文庫化したもので、これに唐末の「安史の乱」から五代十国を経て北宋建国に至るまでの概要を冒頭に追加している。2012/01/13
叔嗣（しゅくし）
1
もっと早く読んでおけばよかったと後悔。2017/08/05
ｃｄｃ@カエル王ピクルス
0
唐宋の変革について、時代区分論争はしばらく措き、使職の展開を軸に唐から五代を経て宋に至る流れを概観から個別的事象を踏まえて論じたもの。唐朝崩壊は黄巣の乱によるとする説が一般的であると思うが、それ以上に使職の拡大と藩鎮の形成、財政の逼迫、牛李の党争と辟召の盛行といった一連の事象が唐朝崩壊に与えた影響は大きいことを再認識した。また貴族社会の変遷については、魏晋以来の門閥貴族が科挙を経て唐代官僚貴族となり、後に使職の辟召により新興官僚層が現れ、五代の軍閥時代を成し、宋代士大夫へと至る詳細な解説は判りやすかった。2012/09/18
