内容説明
キャプテン・ドレーク、キャプテン・キッド、そしてカリブの海賊とよばれ、怖れられた海賊という名のならずものたち。歴史と文学にまたがる領域から広く資料を漁り、彼らの存在を全般的に扱った海賊史研究の比類なき書物、待望の復刊。下巻はバッカニーアや女海賊、北米や東洋の海賊たちをエピソード豊かに描く。
目次
3 西の海賊(承前)(北アメリカの海賊;十九世紀)
4 東の海賊(アフリカ沿岸;マラバルの海賊;海賊海岸;日本と中国;マレー珊瑚礁;海賊の終焉)
著者等紹介
ゴス,フィリップ[ゴス,フィリップ][Gosse,Philip]
1879年、イギリスに生まれる。最初農学を修め、1896~97年に博物学者としてアンデスの調査隊に加わった。帰国後、父の命でケンブリッジ大学医学部に入り、セント・バーソロミュー病院で臨床訓練を受けた。1907年王立外科医師会会員になり、1923年にダーハム大学より医学博士の学位を得た。第一次世界大戦中は軍医としてフランスおよびインドに赴任。戦後、年金省の医療審査官となり、さらにロンドンにあるラジウム研究所所長を勤め、1930年に退官
朝比奈一郎[アサヒナイチロウ]
1941年東京に生まれる。慶應義塾大学経済学部卒業(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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yamatoshiuruhashi
2
原題は"History of Piracy"。欧州人の作者にとって「History」とは欧米の歴史であり「オリエント」とは中近東(この呼び方自体が欧州中心)であることがよくわかる。それでも中国や日本の海賊にも言及。「国家」の成り立ちと海賊=武装勢力が密接にかかわることも上下巻読み通すと改めて認識、更には、欧州人から見るとキリスト教以外は野蛮人の宗教であることも明示される。本書によれば17世紀の海賊の共通認識は「キリスト教徒が異教徒に盗みを働いても何ら罪にならない」(P17)。文化比較論としても秀逸の一書。2013/01/12
閑
2
上巻に続いて下巻は北米、アフリカ、マラバル、ペルシア湾、中国・日本、マレー珊瑚礁を扱う。下巻で知っていた海賊はバーソロミュ・ロバーツ、アン・ボニー、鄭成功くらい。中国で暴れまわった女海賊チン夫人の話など面白いエピソードが多く出てくる。まったく知らなかったがこの本の初出は1932年で「海賊史」の古典として扱われてるそう。著者は最終章で巡洋艦などの発達で海賊が消滅したことを少し寂しげに書いているが、現代でも海賊が活躍していることを知ったらどんな面白い文章を書いただろうかと思った。2012/01/26
むとうさん
1
下巻は北米からアフリカ、中東、アジアまで…と書くと広い。特に下巻で印象に残ったのは、様々なキャプテンの最期、処刑される場面。あくまで自分の正しさを主張したり、ここにきて急に大人しくなったり、ふがいない仲間を罵ってみたり。日本の武士には「辞世の句」という、正に切腹=死ぬ間際に残す言葉というのがあるけれど、実は一番個性が出るタイミングなのかもしれない。それ以外だと女性海賊の意外な活躍が目立った。当時の世相を考えると、男性以上に、一度関与してしまったら引くに引けない、という事情はあったかも。2012/10/23
たくりん
0
最近アフリカ等で頻発している誘拐事件。身代金目的とかあるだろうけど、昔は海賊が同じことをしていたんだな。ってか、今も海賊と同じ事をしてるってことか。2014/06/11