出版社内容情報
すべての代償は、死で贖え――。秘密SMクラブ、公安警察との暗闘、葬り去られる殺人。理不尽な現実に、男の憎悪と復讐が暴走する! 激走する馳ワールド、衝撃のクライマックス!!
内容説明
失踪した井口警視監の娘の捜索を進めるうちに「ブルー・ローズ」の秘密を知った元刑事の徳永。上級警察官僚、大物政治家をも巻き込む巨大な暗闘、徳永を嘲笑うかのように立ちはだかる公安警察の巨大な壁―。際限なく膨張し続ける人々の欲望を前に、ついに徳永のモラルが吹き飛ぶ!人間の性と暴力衝動が炸裂する、馴ノワール新たなる傑作長篇。
著者等紹介
馳星周[ハセセイシュウ]
1965年北海道生まれ。横浜市立大学卒業。出版社勤務を経てフリーライターになる。96年『不夜城』で小説家としてデビュー。同作品で第18回吉川英治文学新人賞、97年『鎮魂歌―不夜城2』で第51回日本推理作家協会賞、99年に『漂流街』で大藪春彦賞受賞(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。
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乱読太郎の積んでる本棚
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
ヴェネツィア
310
下巻に入って、小説は一層に加速する。それに引きずられて、構想の不自然さには目を瞑ることにした。バイオレンスの度合いも、頻度も上巻よりは遥かに高まり、馳星周らしさが発揮されている。孤独なテロリストとして一人で権力に反抗する主人公の徳永の悲壮感と徒手空拳のヒロイズムもまたそうだ。今回の作品では女王様群をはじめ、渡瀬など特異なキャラクターを用いたことも(都合がよすぎる面はあるが)作品に精彩を添えてはいるだろう。「パパは人を殺したりなんかしないわ。警察官なのよ」ーこんな風に主題があからさまに語られてしまう⇒2023/03/23
Kei
114
馳星周が不夜城でデビューした時は、鮮烈で、日本にもエルロイのような作家が出た!と、興奮した。丁寧な伏線と、気の利いた会話、とめどないノワール。根気強い問題解決へのあり方と哀しき破滅への道すじ。今までの日本にはなかった。話題になったものの、大きな賞はとれず、後年、内藤陳氏の真実が語られ、結局、動物ヒューマンで、一流と評されるようになった。本作は、至るまでの過渡期作品。スポーツ新聞連載ゆえに、過度に弾けちゃわざるをえなかったのかな?当時はうんざりして、下巻をパスした記憶。今は、あぁ、そうですか、と、読めた。 2023/01/10
Tsuyoshi
70
警察キャリアの娘を探し出すはずが一転してとある女性の死をきっかけに復讐鬼となった徳永。警察や公安を相手に1人で立ち向かう徳永の狂気っぷりが凄まじかった。正にタイトルのブルーローズの意味する「あり得ない展開」だったがついつい引き込まれてしまった。 2018/06/07
えみ
27
畳みかけるような勢いで破滅への扉が次々と開かれていく。幾重の扉の先に待ち受けているのはもう後戻りのできない暗黒の世界。身内の命と自分の保身を天秤にかけて、保身を選ぶ政治家に警察官僚。分かり易く腐った馬鹿野郎で、身を滅ぼす過程がもはや気持ちよくさえ感じた。抗争劇に身を落とし、人生を捨てた徳永の行き着く闇と出世や欲の為に暗躍してきた政治家と警察官僚たちが行き着いた闇。どちらが深いか…。私は蔓延る悪に立ち向かうため極悪人と化した徳永に軍配を挙げたい。銃弾の雨にあがる血飛沫、濃厚なエロス、目覚める狂気。凄まじい。2019/10/19
toshi
16
警察内の権力闘争に巻き込まれ、最後は復讐鬼と化して殺人を繰り返していく男の物語。 スリリングな場面の連続でハードボイルドな気分を味わえるけれど、行動の動機が分かりにくいし、こんな状況があの事実だけから推測されるの?と言う展開が多くて、納得できない場面が多数ある。 馳星周はこの手の話よりも「ソウルメイト」のようなホノボノ系の方が良い。2016/07/30