出版社内容情報
若き日の恩賜の逆鱗に触れ、学界を追われた美術史研究の俊才が、人生の裏街道を放浪した末、浦上玉堂の贋作画の製作に激しい情熱を燃やす。表題作ほか、全4編。
内容説明
若き日、師の逆鱗にふれ、学界を追われた美術史研究の異才が、人生の裏街道を放浪したすえ、浦上玉堂の贋作画の製作に激しい情熱を燃やす。アカデミズムに居直り権威となったかつての同輩への暗い敵意が練り上げた、周到緻密な復讐計画の結末は―。表題作ほか、野心と失意の世界を描く傑作短篇集。
著者等紹介
松本清張[マツモトセイチョウ]
1909年、福岡県小倉(現北九州市)に生まれる。51年、「週刊朝日」主催の「百万人の小説」で「西郷札」が三等に入選。53年「或る『小倉日記』伝」で第二八回芥川賞を受賞。55年、短編「張込み」で推理小説に進出し、56年に作家専業となる。58年に刊行した初の推理長編『点と線』は大ベストセラーになり、一大推理小説ブームを引き起こす立役者のひとりとなった。70年『昭和史発掘』で第一八回菊池寛賞、90年朝日賞受賞。92年永眠(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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Wisteria
9
何と言う息苦しさ。まるで自分自身が体験しているかのようなリアリティ。すごい。特に『空白の意匠』は社会人なら、分かる!と叫びたくなると思う。いやぁもう頭殴られました、最後の一行。表題作の『真贋の森』は物哀しい。人が慢心し、つまらない自己顕示欲を優先させた時、落とし穴がぽっかりと口を開ける。2016/06/12
kazuさん
8
真贋の森を読みたくてこの短編集を買った。日本美術史学会の権威を失墜させるために、贋作を描く画家を自ら培養し、権威でも見抜けない様な完成された贋画を描かせるが、もう少しのところで計画は頓挫する。贋作画家の酒匂鳳岳がほんの一言洩らした。短編だが、文章は緻密で一気に読了した。推理小説だけではない、清張作品の幅の広さと奥行きに感動した。2021/10/01
★けーちん★
3
松本清張やっぱり良かった次も読みたい2014/12/30
sin64
2
松本清張、初めて読んだ。松本清張って小難しそうな固い話ばかりかと思ってたけど、さすが、松本清張だ。と思った。『上申書』などは、まるで裁判員裁判の裁判員をやっているかのようだし、どれもいつのまにか引き込まれてしまう。ほどよい古さとしっかりしたストーリーを手軽に堪能。これを機会に他も読んでみるかな。2013/08/06
サカナ
1
松本作品初読み。私にはまだ早かったm(_ _)m2018/03/03