出版社内容情報
「あの戦争」とはいったい何だったのか。誰が、いつ、どのように判断を誤ったのか。歴史認識その他で問題化している靖国、隣国外交の問題膠着をとく解は「あの戦争」の分析・検証にある。
内容説明
日本はなぜ無謀な戦争に突入し、多大な犠牲を生まなければならなかったのか。日本人自らの手で責任のありかを検証し、次世代へとつなげる試みに記者たちが挑む。上巻では「対外認識」「石油エネルギー」「メディア」など、独自の視点からテーマ別に検証する。
目次
検証・戦争責任
陸軍参謀
昭和初期の「革新」運動
12・8日記の四年間
日本の対外認識と国際感覚
石油エネルギー
戦争と経済
テロリズム
特攻
大日本帝国憲法
メディア
戦争責任とは
海外の歴史家インタビュー
戦争体験や戦争責任をめぐる世論調査結果
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
skunk_c
61
「あの戦争」(本書末の保阪正康氏の用語を拝借)の戦争責任を探るという読売新聞社の企画から生まれた本だそうで、一通りの歴史的事実が整理されており、「あの戦争」(具体的戦史ではなく問題点)をざっくり知るのには手頃かもしれない。また、メディア(新聞)が責任加担者であったことを、検閲に逃げ込まずに検証しようという姿勢は評価できる。しかし、あちこち読売らしい面も感じられた。特にインタビュー対象者の幅が狭い印象。また、アンケートも実施しているが、設問に色々問題を感じた。「あの戦争」の整理の仕方が違うのではないか。2023/06/23
kawa
37
2005年(戦後60年)、「あの戦争」の責任が明確にされていないということで同紙上で行われた検証特集を書籍化。読売新聞主筆・渡辺恒雄氏が主導したと聞く。上巻は、戦争責任、陸軍参謀、昭和初期の「革新」運動等14項目を建て解説と識者コメントの形式、後半は識者6名の対談で議論を深めるという形式。前半は薄口で、後半のような対談による議論の深まりがないのがやや不満。にしても昭和初期のテロリズムの激しさとその影響、政友会の犬養毅氏や鳩山一郎氏らが政治的な思惑から軍縮問題を統帥権干犯と攻撃した悪影響等の指摘が印象的。2025/03/02
たくぼん
5
なんでも言って委員会で、読売新聞の解説員の方が紹介されていた本。たしか、ナベツネさんが鶴の一声で、社として戦争について検証した本。もちろん軍部はじめ、石油問題や経済、大日本帝国憲法、そしてメディア自らの検証も行っていた。下巻もあるが、もう一度、借りて、じっくり読もう。2014/06/06
Atsushi Kobayashi
2
もともと新聞ということで、限られたTopicを深掘りするのではなく、いろんな切り口が切りまくる、という考え方。それはそれで納得できるまとめ方でした。あんまり知らないこともあったので、ちょっと感心です。2015/09/29
sillyfox
0
「最初に結論ありき」ではなく、各章のテーマについて資料を漁りながら骨付けしていく論法が近年では新鮮に思われた。元々新聞連載記事だったことから、文章も平易であり、一方の立場が強引に述べられるということもなく、素直に読める。2014/09/01