出版社内容情報
鳩山内閣から宮沢内閣まで、戦後レジームそのものであった自民党。その政権党としての38年の歴史を、牽引力となった派閥構造に着目しながら、仔細に跡づける。さらに、官僚派・党人派といった、派閥の基層となった人脈について、自民党結党前史から論じ、派閥政治のダイナミズムを鮮やかに描き出す。
内容説明
鳩山内閣から宮沢内閣まで、戦後政治は自民党とともにあった。三八年の長期にわたって政権を独占した政党の軌跡を、権力基盤としての派閥構造の変遷を軸に辿る。同時に、歴代総理・総裁のパーソナリティや、経済運営や外交姿勢など政策面の特色から、自民党政治のダイナミズムを鮮やかに描き出す。吉野作造賞受賞。
目次
序章 自民党政治の歴史的背景
第1章 自民党政治の確立
第2章 自民党の黄金時代
第3章 自民党政治の動揺
第4章 自民党政治の再生
第5章 自民党政権の崩壊
著者等紹介
北岡伸一[キタオカシンイチ]
1948年奈良県生まれ。71年東京大学法学部卒業。76年同大学院法学政治学研究科博士課程修了。法学博士。プリンストン大学客員研究員、立教大学法学部教授などを経て、東京大学法学部教授。2004~06年国連次席大使。専攻は日本政治史。主な著書に『清沢冽』(中公新書、サントリー学芸賞)(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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あんころもち
12
戦後政治を保守本流の点から考える上で良い一冊である。岸信介が確立した経済重視+日米協調いうスタンスがどのように続いていったか、どのように変化していったか。 派閥政治においては、政策・人物本位の組閣は難しかったものの、派閥均衡という枠組みの中で政治課題にアタックしたのもまた事実である。そして「政治」に長けた有為なリーダーを輩出できたのもまた事実であり、最近の「言葉」「雰囲気」に長けたリーダーとはまた違うものではあるだろう。 日本政治の来し方を考えさせられる一冊である。2015/07/02
politics
7
自民党以前の政党の歴史を前置きにし、鳩山政権から宮澤政権による自民党単独政権崩壊までを描いた自民党史。北岡氏による流麗な文体のもと、時代時代の自民党指導者への評価が主観に傾き過ぎない形で論じられており読み物としても大変面白い。また歴史叙述とは別に著者独自の「保守本流」論なども挿入されており、政治学的な分析も興味深い。矢張り佐藤以降の政権は派閥それも田中角栄に縛られ過ぎていたと思わずにはいられない印象を受ける。「ネオ五五体制」と言われる現在政治を分析する際に、「五五体制」を振り返ることは矢張り大切だろう。2023/08/15
富士さん
6
今の日本や政治の在り方がどのようにできたかのアウトラインを掴むのによい本でした。やはり境は70年代にありそうです。ここが、政治の力で、つまりは自分たちの力で、日常を変えることができると思えた最後のタイミングだったように思います。その後、派閥は議員にポストを、選挙は後援会に利益を分配することを目指すものになり、二世のような軽くて目立つ神輿が、理想を託した誰かよりも重宝がられるようになる。誰も本気で革命や対米自立ができるとは考えなくなり、選択肢のない「終わりなき日常」がはじまる、そんなところでしょうか。2024/02/15
nishiyan
5
底本は1995年に読売新聞社より刊『自民党 政権党の38年』の文庫版。文庫化されたのも2008年と少し古い。明治以降の政党の歴史を簡単に触れながら占領期の吉田内閣から自民党が初めて下野した宮沢喜一内閣までの歴代自民党内閣の国内政策と外交政策、自民党内の派閥抗争などを解説している。自民党に焦点を当てたものとなると派閥抗争がメインとなりがちなのだが、当時の政策課題や外交問題などにも気を配られており、バランスがよく読みやすかった。近年、新たな資料が発見されており、続編もしくは加筆したものが出されると嬉しい。2018/04/12
coolflat
5
自民党総裁=総理を中心に自民党の歴史を追っている。自民党の歴史とはいっても、結党からの歴史ではなく、吉田内閣辺りから保守合同に至る結党までの流れも描いている。さながら日本の近代史といっても差し支えない。個人的に面白かったのは総理の人物評だった。なお、本書は細川内閣まで書かれている。副題にあるように38年の自民党単独政権はここで終わったわけである。因みに自民党政権を“崩壊”させたのは小沢一郎である。中選挙区を基礎とする派閥政治から小選挙区を中心とする多数決を基礎とする政治への転換が崩壊へと繋がったのである。2014/07/09