内容説明
今だけがあって、それだけを考えていられたら良いのに。未来だって、せいぜい明日か明後日くらいしかなければ良いのに―「僕」は病院を抜け出し「彼女」の車で地上を逃げる。二度と空には、戦闘機には戻れないと予感しながら。永遠の時を生きる子供たちを描く、現代の寓話「スカイ・クロラ」シリーズ。
著者等紹介
森博嗣[モリヒロシ]
作家、工学博士。1957年12月7日愛知県生まれ。国立N大学工学部建築学科助教授のかたわら、1996年に『すべてがFになる』(講談社)で第1回メフィスト賞を受賞しデビュー。以後、続々と作品を発表し、人気を博している(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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乱読太郎の積んでる本棚
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
ハタ
88
「子供のままでいる事が大人にとっては目障りなのだ。それは大人が大事にしている原則を覆すものだから」大人になるという事は成長するという事であり、穢れるという事であり、何かを諦めるという事である。しかし本作に出てくるキルドレ達は永遠に今を生きる子供達であり、作中では大人の価値観に縛られない純粋な想いを持ち続ける存在として描写されている。その生き方を見て私達が感じる事はかけがえのない美しさか、果たしてそれとも、、、2016/04/01
ゲバオ
59
スカイクロラシリーズ 4作目。こ、これは…読み返すことになる気配がぷんぷんします。主人公の「僕」がいったい誰なのか最後まで不透明なまま話が進んでいく。この人だろうなーと想定して読んでると、「あれ?まてよ、あいつの可能性もあるじゃないか」の繰り返しでした。とりあえず 最後のスカイクロラを読むのを楽しみにしよう。2016/06/07
ソラ
57
「あなたは、あなたでなくなるかもしれない。それでも、あなたが選択した道だわ」 もう流れから言ってジンロウかと思ってたら…。「僕」っていったい、貴方は誰?って感じ。2014/05/25
akira
57
フーコみたいなタイプは好きではないらしい。仕事や環境ではなく、発言する内容が自分とは合わないんだろう。そのせいか、序盤につまづき、しばらく放置だった。展開が早すぎたが、やはり飛ばないシーンはなかなか楽しめない。それでも読む事をやめられないのは、もはや中毒と言ってもいい森博嗣ワードたちのせい。自分は確実に独特の言い回しに酔いたくてこのシリーズを追っている。そして最後の最後でまたやられた一人称のトリック。今回は完全に「僕」が分からなくなった。とても悔しい。2013/02/14
ぺぱごじら
50
『飛びたくないから逃げたのではない、飛ばせてくれないから逃げたのだ』空に棲み、空で笑い、空で踊る者は、空でしか生きることが出来ない。『Cradle the Sky』空をゆりかごとして生まれたものの宿命。その心情を心から理解していたのは、親切・同情・思想信条から遠く、野心のみが心を支配しているたった一人の大人だった。シリーズの大きな流れは理解できたものの、それにより何かが開放されたようには感じられない、切ない物語。舞台である空は、あれほどに高く透き通っているというのに。2012/02/21