出版社内容情報
河内音頭にうたわれた実際の大量殺人事件〈河内十人斬り〉をモチーフに、人はなぜ人を殺すのかを描く。第41回谷崎潤一郎賞受賞。〈解説〉
内容説明
人はなぜ人を殺すのか―。河内音頭のスタンダードナンバーにうたいつがれる、実際に起きた大量殺人事件「河内十人斬り」をモチーフに、永遠のテーマに迫る著者渾身の長編小説。第四十一回谷崎潤一郎賞受賞作。
著者等紹介
町田康[マチダコウ]
作家、ミュージシャン。1962年大阪生まれ。高校時代より町田町蔵の名で音楽活動を始める。97年に処女小説『くっすん大黒』で野間文芸新人賞、Bunkamuraドゥマゴ文学賞、2000年には「きれぎれ」で芥川賞を受賞する。01年詩集『土間の四十八滝』で萩原朔太郎賞、02年「権現の踊り子」で川端康成文学賞を受賞。05年に本書で谷崎潤一郎賞を受賞した(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
ミカママ
517
えええぇぇぇ、実話ベースやったんかぁ。最初に言うてぇなぁ。しかも、河内音頭⁉️その昔、踊りまくってたヤツやん。再読するか…しかし850ページ…。イヤコラセ〜〜ドッコイセ♬ あとがきはなんと石牟礼道子先生。2020/05/07
青乃108号
215
リンカーンライム物ばかり読んでいて正直飽きてきた。そろそろ違った本を読みたくなって思いだした。 15年前無職だった俺は日がな1日本を読んで過ごしていたのだがその時嵌まったのが町田康。当時から気にはなっていたが威圧的なまでの分厚さに気後れして手に取れずにいたのが本作だった。 熊太郎は自分の思弁の全てを解放しようと懸命に努力するが思いは叶わず、涙ながらに「あかんかった」と言い自害していく。 熊太郎は俺だ。これ程までに心を揺さぶる物語を俺は知らない。2021/07/16
nobby
211
その生き様を冒頭で「あかんではないか」と評された熊太郎が、最後たどり着く答えもまた同じなのは秀逸。河内十人斬りという実話を基に、一人の怠惰な男の人生をなぞらえ、思弁的という歪な心情が延々と綴られる。自己を守り虚栄を張るべく思いのまま行動する様や思惑のズレ模様の羅列に、一瞬何を延々と読まされているのか分からなくなるが、そのバカ正直でピュアな思考は憎めない。また、社会との帰属があるからこその現在の自分を確認しながら過去を顧みるばかり。蔓延る悪を討ちつつなされた告白、必死のパッチの言葉が導き出すのは空虚のみ…2017/10/26
🅼🆈½ ユニス™
205
面白くて笑い転げてたのに! … 熊太郎のバカ!バカを思うと苦しくてなる。心が痛い!心が痛い!活字が音楽となってリズミカルに私の耳を打って来る。フワフワと読者を空中浮遊させる。死ぬ時は一緒とアニキの熊太郎に誓った弟分弥五郎の決行前日の行動には涙が止まらなかった。…この感想は表現しきれない… 渾身の力を振り絞って書き上げたであろう作家 「町田 康」 さんは書き終えて長い間寝込んだと思えるくらい力強い “大名作” だった!これこそが文学、いや、とにかく素晴らしい❗️ [★★★★★]2018/06/03
酔拳
178
明治23年、実際に起こった事件、河内10人切りの犯人、熊太郎人生にせまった小説。町田さんは、小説の中で、熊太郎の性格を想定して、熊五郎に乗り移ったかのように、クあ五郎を表現しています。熊太郎は、小さいときから、周りの子供と違いを感じ、ずっと、生きずらさを抱えていきていた。そして、大人になっても、友達と同じように、働くことができず、博打しかできなくなってしまう。そんな、熊太郎の心理を、町田さん飄々とした文体で表現されています。熊太郎が10人切りしたのはなるべくしてなったのか?読者に問う作品。2020/02/08