内容説明
米ソ冷戦下に進められた占領政策は保守・革新の激突をもたらし、講和独立・安保問題に至ってついに国論は二分した。しかし険しい戦後史を生きぬいた国民は、ナショナリズムとデモクラシー、連続と断絶の融合の上に国論の一致を求めてゆく。
目次
戦争完敗に終わる
占領統治始まる
占領下の民主化過程
占領政策と経済復興のエネルギー
冷戦下の講和独立
保守・革新対立の様相
長期化する保守政権
技術革新と消費革命
大衆社会と大衆運動
自主外交への歩み
安保騒動の一ヵ月
所得倍増計画のゆくえ
国土と国民文化の変貌
近代化に苦悶する政治体制
平和と安全を求めて
よみがえる日本
著者等紹介
蝋山政道[ロウヤママサミチ]
1895年(明治28)、新潟県柏崎市に生まれ、群馬県高崎市で育つ。1920年(大正9)東京帝国大学法学部政治学科卒業。28年(昭和3)法学部教授。39年(昭和14)河合事件のとき、河合栄治郎氏に従って教授を辞任。その後衆議院議員、憲法調査会委員、お茶の水女子大学学長、国際基督教大学教授・客員教授などを歴任、その間一貫して民主社会主義の研究・普及に努める。お茶の水大学名誉教授。日本学士院会員。80年(昭和55)逝去(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
KAZOO
107
日本の歴史の最終巻で、終戦後から1070年代直前のころまでを主に政治経済の分野から俯瞰してくれています。戦後昭和史については経済史や政治史の本は結構あるのですがそれを融合させてうまく説明してくれるのはこの本の特徴なのでしょう。蝋山さんが書かれているので若干政治的な側面の分析が多くなっています。現在の若い人から見るとここに書いてあることは我々が感じている戦前大正の時代のイメージとおなじなのかもしれません。2015/12/25
しびぞう
6
これにて全巻読破。けだし名著。新しい全集は出ていても、まずはこれから読め、という方針は変わらないで欲しい。自分が生まれる直前の日本の状況を知る機会があまりなかった身には大変ありがたい内容だった。そして、20年ほど前に文庫として再刊された際の解説に、40年前に書かれたとは思えない、と引用されていた箇所が、それから20年経っても、それほど昔に書かれたとは思えない含蓄を含んでいた。そんな箇所が他にも沢山あった。若い人にこそ読んで欲しい。そして我々世代を、ふがいない大人たちだったと笑って欲しい。2022/11/02
あしお
2
中公日本の歴史読破🇯🇵 とはいえ最後のこの一冊はつまらなくて読んでて辛かった^_^; 決して内容が悪いとかではないのだけれど、なんというか戦後史は「歴史」というより現代社会の背景って感じで、楽しんで読むものではないようだ。 50年前の人が自分の生きてきた時代を書いているので、現代人にはわからない当時の雰囲気というものが伝わる。そういう意味では重要な資料かもしれない。2021/03/19
ポルターガイスト
1
高度成長期に書かれた戦後史。事項の取捨選択が適切すぎて筆者の洞察力に驚く。時代的制約はあるものの中立的で普遍性のある描き方になっている。当時の人が,どう考えていたかよくわかって面白い。それにしても日本を取り巻く政治のようすが安保闘争のころ現在とで驚くほど変わり映えせず呆れた。こんな茶番はインターネット世代の僕らの時代で終わりにしてちゃんと本質的な議論ができるようにしたいものです。まあ日本史全集をすべて通して見た感じだと,そう簡単には変わりそうもないですが。2017/10/29
はまい
0
「よみがえる日本」の響きにゾクゾクする。 読んでいるとアメリカに蘇らせてもらった感。形はどうあれ。保守の党が選挙で勝ち続けていたのもアメリカの操作なのかなと勝手な想像。安保闘争などのデモ、運動は熱い時代だった証というイメージがあるが、「民主主義が未熟だからそういう行動に走る」と著者が一蹴していて、だから現在は下火になっているのかと勝手に納得したりと。共産主義化への警戒感も物凄く強かったんだなと。2017/06/03
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