内容説明
日中戦争初期、武漢で抗日宣伝活動の中枢を担った文学者自らが語る国民党抗戦陣営の内幕。蒋介石、周恩来をはじめとする人間模様や、愛国的文化人の悲哀が、風刺と感傷を交えつつ軽妙に描き出されている。
目次
南遷
動揺
再動揺
準備
宣伝週
退潮期
大武漢防衛
推進
反推進
戦区を行く
生活のあれこれ
疾風は頸草を知る
撤退前後
流亡
長沙の大火
幽谷に入る
著者等紹介
郭沫若[カクマツジャク]
1892‐1978。中国の文学者、政治家。1914年日本に留学。福岡医科大(現九州大学医学部)を卒業後、23年帰国、プロレタリア運動に投ずる。27年4月蒋介石の上海クーデター(国共分裂)後、南昌蜂起に加わり、次いで弾圧を逃れて日本に亡命、中国古代史や文学研究に没頭した。37年蘆溝橋事件の直後、日本人妻子を残して帰国、抗日救国の宣伝活動や評論・劇作に活躍した。解放後は民主政治運動の先頭に立ち、一貫して文化界の重鎮として活躍した
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感想・レビュー
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印度 洋一郎
4
後に中国の文化部門の高官になった著者の、1937年の日中戦争勃発から1939年辺りまでの約二年間の回想録。内容は当時の国共合作が行われていた中国政府内部での、文化宣伝部署での著者の活動が中心なので、日本軍も戦闘もほとんど出てこない"銃後の中国戦線"であり、書名はちょっとわかり難い。著者は容共左派の文化人だったので、とにかく反動派=国民党やトロツキスト=転向左派(裏切り者)への激烈な批判が一杯。いわゆる近衛声明も「国民党は内心歓迎した」とのこと。書かれたのが共産政権誕生直後という時期的な事もありそう。2016/03/23
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