内容説明
「遊心譜という名は、偶然思いついた言葉である」と、実学を志した著者が、卒寿すぎてなお“心の余裕を失っていない”ことに安堵し“いささか得意”であった、と。中国とソ連への直言、図書・典籍に関する話、師友・知友の列伝、上海旅行を綴る自伝まで、六十年にわたる珠玉のエッセイ集。
目次
遊心(指紋談議;山陽銘の硯 ほか)
国際(わたしの直言;私の未来学 ほか)
学界(『雍正時代の研究』解説;榊亮三郎博士のミトラ教研究聞書 ほか)
師友(羽田博士を悼む;『西ウィグル国史の研究』(安部健夫著)推薦の言葉 ほか)
自伝(田中野神町の火曜の会;上海から広東まで ほか)〔ほか〕
著者等紹介
宮崎市定[ミヤザキイチサダ]
明治34年(1901)、長野県飯山市に生まれる。大正14年、京都大学文学部東洋史学科卒業。昭和35~40年、パリ、ハーバード、ハンブルク、ボフムの各大学に客員教授として招かれる。専攻は中国の社会・経済・制度史。平成元年、文化功労者に顕彰される。平成7年死去。もと京都大学名誉教授
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感想・レビュー
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徒生
4
宮崎先生のエッセイを1925年(大正14)の京都帝国大学新聞から晩年の1995年(平成7年)まで三代に亘って集めた本。随所に述べられる一流の歴史家、学者としての姿勢が特に良いと感じた。全体を通して、ズバリとモノを言いながら、品を失わず、且つ読みやすいお手本のような文章だ。2016/01/04
MAT-TUN
1
宮崎先生の若い頃の写真、イケメンですね。2012/01/18
ソルト佐藤
1
専門の本よりは盛り上がらず。やはり、その筆は歴史の記述の時に一番輝く。でも、いいことばあり。ベトナムとの南沙諸島のやりとりへ批判の言葉として雍正帝の言葉を引いている。曰く。「汝は隣国との友好を保つ道を存ぜぬか。堂々たる天朝は、利益のために小邦と争うことをせぬものぞ」昔の皇帝のほうがずっとすがすがしい。2010/10/19
志村真幸
0
1995年に出た単行本の文庫化。 『中央公論』『朝日新聞』『神戸新聞』などに連載された時評、中国やソ連についての同時代的批評、学会や師友に関するコメントといったものが集められている。 時評・批評は、昔はよかった式だったり、なぜこんな未来が見抜けなかったのかといった嘆きだったりと、もうひとつおもしろいものでない。 学会の思い出も貴重な記録ではあるのかもしれないが……。 正直、読みどころの少ない一冊であった。 2018/09/14