内容説明
「私の山登りは激しい闘志をこめ、そして生命を賭けた闘いであった」。冬のグランドジョラス北壁登攀で足指を奪いとられた著者が、戦時下の疎開生活、印刷会社員時代、そして、山登りに情熱を燃やし続けた半生を回想し、新たな山行をめざして努力をはじめるまでを描く好著。聳立する垂直の空間を追い求めた若者の生きざまが胸をうつ。
目次
岩に芽生えて
岩と氷にまみれて
ガラスの尖塔
沈黙の王座
百歳の山
非情なる北壁
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
つちのこ
2
1980年頃、中公文庫版で読了。“鉄の男”と呼ばれた山学同志会のリーダー、小西の半世紀。昭和30年代の登山ブームに乗って山を始めた無名の男が、世界的に有名なクライマーとして成長していく姿だけでなく、一人の男、家族、仲間たちにとっても魅力ある人物として描かれている。著者を知るうえで見逃せない一冊だと思う。
capri
2
小西さんの足元にも及ばないチンピラ未満の私ですが、彼のこの闘志が、のちの鉄の男達を作ったのだと思います。__今流行りの「仲良し」の人には、遠い世界の出来事に思えるかもしれませんね。2013/08/18
yamakujira
1
先鋭クライマーとして鳴らした前半生を振り返った手記。岩登りに興味がないから、モチベーションが理解できない。 (★★★☆☆)
ressenti-man
0
佐瀬『残された山靴』に晩年、とはいえ50台後半のいい人っぷりが描かれているが、丸くなる前20-30代を中心とした自伝。活動の中心である山学同志会とか典型的な体育会系しごき型山岳会っぽく、ヒトリストでバイクとかスキーとかやっているぼくからは程遠い感じだが、時代を感じさせて興味深い。アマゾンレビュー見ると、長尾三郎『激しすぎる夢―「鉄の男」と呼ばれた登山家・小西政継の生涯』にはその間のことが書かれているのかな、だったら読んでみたいところ。2009/09/12