内容説明
アルプス三大北壁冬期単独登攀を成し遂げ、アコンカグア南壁、チョモランマと足跡を刻んで、43年の生涯を疾走した稀有のクライマー長谷川恒男。群雄割拠する登山界の中で頭角を現し、やがて単独登攀という手法を選ぶことに。生が僥倖でしかない道を一途に求めた長谷川を共感込めて描く。
目次
プロローグ
第1章 八百万人の風景
第2章 死んだっていい
第3章 やさしい嵐
第4章 風のなかの声
第5章 さらば、友よ
第6章 アルプスの暗い壁
第7章 ウルタル・命の谷
エピローグ
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
goro@the_booby
48
世界で初めてアルプス三大北壁冬季単独登攀を成し遂げた長谷川恒男とはどんな人物だったのか。一人で岩壁を登るのは想像すら出来ない、ましてや冬だもん。何故そこまでしなければならなかったのか本書は色々な証言や角度から迫る。止まらないんだろうなぁ~最後はやっぱり山なんだな。日和田山の低い岩でヘロヘロの身としてはただただ恐れるばかりです。2019/06/13
ichiro-k
15
今では伝説「単独登攀にこだわった名クライマー」のパキスタンウルタルⅡ峰(7388m)における雪崩による遭難死までの足跡。前半は、長谷川恒夫自身の描写にツッコミがなく、既読の書籍「森田勝の生と死」と重複している箇所があり退屈。後半は、登攀パートナーや山岳会仲間の人々の証言を交えて登攀情景や人物描写に臨場感がある。しかし最後まで、著者は何を指して「虚空」としたのか不明で読了。2010/12/08
ヘタ
12
命を削る虚空でしか実現できない理想ですな。どうしても唯一無二でありたい功名心。2020/05/27
ランフランコ
8
日本アルピニスト界のビッグネーム長谷川恒男。登攀能力はずば抜けており心技体すべてを兼ね備えている。ただ強烈な自負というか自己顕示欲が結果的に単独登攀へと走らせるが、それが幸せだったのかどうかは本人のみぞ知るところだろう。彼ほどのクライマーがエベレストに嫌われ続けたことは非常に残念。そして最終的に山で亡くなるのだが、チャレンジし続ければいつかは死ぬだろう。アルピニストはみんな引き際が難しい。2018/08/14
不羈
7
これまた、夢枕獏氏の作品に触発されて購入。リアルに熱い。2010/12/10