内容説明
恋と化物は同じで実物は絶えて見ない、と論じた「恋に似たもの」、世の中はやきもちで動いている、と喝破した「やきもち」、肝腎なときに役に立たない保険会社の理不尽を追及した「保険ぎらい」など、世相と人情の真理を衝き、目から鱗が落ちる傑作コラム集。
目次
恋に似たもの
意見広告
二重の客
人の一生
尋ねる人
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
goldenelbechan
1
流石夏彦翁。「恋に似たもの以外に恋があろうか」って言い得て妙ですね。英語でだって確かに「愛する」はI love youだけど「恋する」はI'm in loveですものね。なんにせよ、自分が渦中に浸っている時、周りが見えなくなるのは当たり前。それを美徳とするような文芸が巷に溢れているのは閉口を禁じえない。2013/01/27
クリフトン
0
「陸海軍は30なん年前に瓦解した 以来抵抗力を失った陸海軍人を罵ることが日本人の常になった 世間はこれを言論の自由の回復だとみる それならその自由は大ぜいと同じことを言う自由であり 大ぜいと共に罵る自由であり罵らないものを「村八分」にする自由である これが言論の自由なら これまでもあったしこれからもあるだろう 他人の説を自分の説だと間違えて まだ間違えないものには手をかして間違えさせ 大ぜいの言うことは常に正しい 大ぜいは一時はあざむくことは出来てもながくあざむくことは出来ないと異口同音に言う自由である」2017/01/29
筋肉痛
0
山本夏彦のエッセイを他にも読んでる人間にとっては、まさに寄せては返す波の音ではあるが、それが心地良い。 この世はやきもちで動いている。2015/09/14
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