内容説明
当代の最適任者が、多彩な名文を実例に引きながら、豊かな蓄積と深い洞察によって文章の本質を明らかにし、作文のコツを具体的に説く。最も正統的で最も実際的な文章読本。
目次
第1章 小説家と日本語
第2章 名文を読め
第3章 ちょっと気取って書け
第4章 達意といふこと
第5章 新しい和漢混淆文
第6章 言葉の綾
第7章 言葉のゆかり
第8章 イメージと論理
第9章 文体とレトリック
第10章 結構と脈絡
第11章 目と耳と頭に訴へる
第12章 現代文の条件
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
紅はこべ
132
特に気に入ったのが第九章「文体とレトリック」シェイクスピアの諸作と大岡昇平『野火』を例に取り、レトリックを分類解説している。丸谷氏が村上春樹を評価していた理由の一つに、村上のレトリック使いにあったかも。でもレトリックを駆使するには、それなりの教養とセンスが必要で、私には高い壁だ。本作に引用されている古今東西の名文のうち、最も感銘を受けたのは幸徳秋水が『平民新聞』に載せた「兵士を送る」名文としか言いようがない。今、戦争したがっている政治家どもに是非読ませたい。それだけの読解力があればね。2017/10/04
ω
40
とても勉強になたω と書くと怒られそw 「野火」が教科書的に捉えられていて、私は全然読めてなかったことに気づいたのでもう一度読み直して、名文をしっかりと噛み締める必要があると思う。 よい日本語が書けないのは、日本語の構造上の不備欠陥ではなく、書けない人間の怠惰と無能なのだ。。。 何より、私は笹まくらが大好き。2024/12/22
ハイカラ
39
内容を短くまとめると、「名文をひたすら読みまくって、文章の論理性や言葉選びやリズムを学べ」ということになる。引用されている名文はどれも惚れ惚れするような上手さで、なるほどこいつは一朝一夕で書けないなと思わされる。文章を書くことは簡単じゃない、考えに考えて書かなければいけないと肝に銘じました2016/04/11
原玉幸子
27
日本の近代的自我の目覚めと密接な関係があるとの視点で、柄谷行人『日本近代文学の起源』との「合わせ読み」は如何でしょうか。興味や興奮と言っても、私は古文を読みませんし勉強もしませんので、何とも無責任ですが、本書での丸谷の文学作品(の手法)を例示・比較を通じて、心象、所謂心の揺れ動きの変容や違いを、現今の感覚から眺めることに興奮します。(唯、例えば「成程、『野火』はそうやって読むのか」と興奮も感動もしますが、「本を読む時にそこまで修辞法に拘ると疲れそう」とも思いました。)(◎2024年・春)2024/04/23
キジネコ
23
再読です。十分な理解など叶いませんが、読むたびに発見があります。 作文の極意は名文に接し親しむことに盡きると丸谷さん。ではその「名文」とは一体どういう文章を指すのか?引用される数々の文章、前回同様、漢文調の文章はどうも苦手で素直に落ちてくれないのが情けない。ある文体に出会うとする、それが認めがたい時 その因は?文章の気取りが恰悪い!装う心意気と力の趣味が どうにも気持ち悪い・・・って、妙に腑に落ちる話でした。名分は読む者の実力次第・・研鑽なくして 最高には及ばず~2013/04/23