内容説明
日本海軍はなぜ敗れたのか、それは日本型組織の敗北ではなかったのか―。太平洋戦争の劈頭、真珠湾とマレー沖で大戦果を収めながら、ミッドウェーを転回点としてほぼ壊滅した日本海軍。連合艦隊参謀であった著者は、日米の物量差以外にもその原因があると考え、敗戦直後に通恨の手記を綴った。日本海軍のシステムにひそむ欠陥を、自責の念をこめて語る問題の書。
目次
第1部 日本海軍の対米戦争に関する判断(日本海軍の仮想敵は米国海軍;日米戦争に関する研究 ほか)
第2部 戦争はかく実証した(ハワイ海戦の戦訓;日本海軍の小手先芸 ほか)
第3部 総まとめ(後手、後手となった作戦計画;完敗に終わった「あ」号作戦と「捷」号作戦 ほか)
感想・レビュー
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しなじい
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買い直して再読。一言一句からは帝国海軍、ひいては日本そのものを消滅の淵に追い込む結果となったことへの名状しがたい哀しみと憤り、自らも連合艦隊参謀として勤務したことから生まれる深い自責の念、そして海軍への愛(逆説的だが)が感じられる。当事者の一人としてあえてこの文章を著した千早さんの苦悩は如何ばかりか。後世に生きる人間はこの示唆に富む「反省文」からスタートして、先の大戦の戦略・戦術あるいはそれらに通底する根本的な何かについて考察し批判し検討するということから逃げられないし、逃げるべきでない。2014/06/12