出版社内容情報
南北の社会状況と女性・家族の位置づけの違いは、どのように作用したのか。戦争と家族、記憶と和解を考える。
内容説明
女と家族を守るために戦争に行く男。愛する男を送り出す女。女たちの愛国心はどのような形をとったのか。そして、戦後の和解と復興における女たちの役割とは。ジェンダー史、社会文化史の入門書として最適の一冊!
目次
第1章 南北戦争におけるジェンダーと「大義」―連邦と南部連合(戦争へ行くということ―政治的な義務感と個人的な義務感;北部と南部、それぞれの戦時下の義務;「家庭」のために戦う南部連合 ほか)
第2章 女性の愛国主義という問題―北部と南部(アメリカ独立革命が遺した難題―女性の愛国主義;南北戦争期の女たちの愛国的活動;女性の愛国主義を検証する―北部と南部 ほか)
第3章 南北の女たちと戦争の記憶(女たちと追悼事業―北部と南部、それぞれの特質;南部白人女性の追悼事業;「家庭」を顕彰する「失われた大義」 ほか)
著者等紹介
シルバー,ニナ[シルバー,ニナ] [Silber,Nina]
ボストン大学歴史学部教授。カリフォルニア大学バークレー校Ph.D.専門はアメリカ史、特に南北戦争史、および南北戦争の記憶の歴史とジェンダー
兼子歩[カネコアユム]
明治大学政治経済学部専任講師。北海道大学大学院文学研究科博士後期課程単位修得退学。専門はアメリカ社会文化史、特にジェンダー史(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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nranjen
3
ジェンダー史とはなんたるものか、はじめて知ることになり、それが自分の中で腑に落ちた本。この本に出会えてよかったと思う。奴隷制度、経済活動の形態、アメリカに様々な決定的変化を及ぼした南北戦争だが、今まで注目されることのなかったもう半分の人間に注目することによって、イデオロギーの変化をふくめた南北戦争の新たな全体像が浮かび上がってくるのを目の当たりにした気がした。幻想かもしれないが。人々の意識の変化というものを科学的に追うことは難しいと感じる今日この頃にあって、なるほどと感じた本。ジェンダー史面白い。2019/05/05