内容説明
小奴の澄子、久千代の民江、花勇の貞子、染弥の妙子―戦争という苛酷な運命を背景に、まだいたいけな少女の身で、金と男と意地が相手の稼業に身を投じた四人の女がたどる、哀しくも勁い愛の生涯を描ききる傑作長篇小説。女流文学賞受賞作。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ドワンゴの提供する「読書メーター」によるものです。
canacona
24
芸鼓紹介業の家の娘悦子を軸に、娘親に売られて引き取られてきた4人の女性達のそれぞれの半生を描いています。年端もいかないうちから芸娼妓として働いて、澄子は大怪我で全身不随になるものの生活の心配はなくなった。父の姿を追い求めた民江は父に似た男性を亡くし、主に娼妓として生きた貞子は結婚したものの病気で若くして亡くなった。皆自分の境遇と受け止めてそれぞれ逞しく生きているけど、物悲しい。唯一妙子は早いうちに結婚し、夫と二人で事業を成功させ安定した暮らしを得た。姉妹のように育てられた悦子は、どんな気持ちだっただろう。2021/11/19
taka
4
生活の質って本当に大事と思ってしまう。売られていく女性はいずれも家庭環境が劣悪すぎる。売られた娘の伴侶になる人も、なんか普通ではなく苦労が絶えない。2016/09/23
miel
4
芸妓娼妓紹介業の家に生まれた悦子と、姉妹のように育ちながら芸妓の道を歩まねばならなかった4人の女性たち。金に縛られ男に翻弄される彼女たちは、戦争によりさらに苛酷な運命を辿ってゆく。その中で、自分の体と芸だけで生きてゆくその姿は凄烈だ。誰もが苦しかった時代、苦界を生き抜いたそれぞれの人生から、生きることへの意地と希望を感じた。2015/10/06
安藤スミス
3
戦前から戦後を生きた4者4葉の芸姑の話。本当にこういうことはあったのだろうな、という現実感が感じられた一作でした。
G .Mahler
2
津市久居アルスプラザで開催された古本市「ホンツヅキ2025」で購入。前に読んだ川村湊著「異郷の昭和文学-満州と近代日本」で満州からの引き揚げの歴史に興味を持っていたことから購入した。同じ子方屋で姉妹のように育てられた5人の女子の生涯が語られる。語り口が静かで引き込まれる。それぞれに波乱万丈の人生。これを全て創作してこんなに自然に語ることができるのは驚きである。2025/10/18




