内容説明
犯罪者、娼婦、乞食が根城にする貧民街ヒトロフカ。〈一文出して、十文儲ける〉式の泥棒市場スハレフカ…。モスクワ市民が憩う銭湯、料理屋、床屋、パン屋、競馬場…。繁栄の街角とその陰の“どん底”を舞台に展開される人間模様を、炯眼と度胸で描く、迫真のドキュメント。
目次
モスクワにて
レフォルトヴォから木綿区へ
劇場広場
ヒトロフカ
遠洋航海士
スハレフカ
キタイゴロドの壁
ネグリンカの秘密
花売並木通りの夜
鷲のついたジョッキ
“犬小舎”の劇作家たち
邸宅と商人と寮生
画家の“水曜会”
画家の卵たち
水路広場
モスクワの胃袋
樹皮小屋広場
火の見櫓のもと
パン屋と床屋
二つの同人会
狩猟家クラブ
ライオンの門
学生
ナルィシキナ小公園
二つの邸宅の物語
銭湯
料理屋
穴倉
オルスフィエフ砦
ピーテル街道筋
目のあたり
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
Wataru Hoshii
4
これは、私が高校生の頃からずっと愛読してきた本。12歳から15歳までを過ごしたモスクワの街のことを思い出しながら、何度も読み返してきた。去年の5月、およそ20年ぶりにモスクワに2週間ほど滞在し、その変貌ぶりに浦島太郎状態だったのだが、帰国してまた読み始めた。今回は、モスクワで買ってきた地図を見ながら、ゆっくりと読んでいったので、読み終えるまでに相当時間がかかってしまったが。改めて、この街の魅力溢れるディテールをここまで描き尽くした書物はないと思った。次にモスクワに行くときに、訪れてみたい場所がたくさん。2018/02/13
陶符
2
訳者のあとがきで解説されているが、これはソ連時代に、ロシア人によってロシア人のために書かれた懐古調のドキュメンタリと言える。・・・が、21世紀を生きる異国人の我々にも19世紀末のモスクワの情景を悉に垣間見せてくれる・・・。2016/11/30