内容説明
戦前昭和は遠くなり、いま昭和は過ぎゆく。特に世界経済の一大中心地となった東京の変貌はすさまじい。少年から青年へ成長してゆく自分の姿を通して、激動する時代の庶民生活を確かな眼で捉える。
目次
花電車
巣鴨
西洋館
幼稚園
文化住宅
三美人
お弁当
同級生
昭和4年
野球放送 ほか
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
ワッピー
36
読み友さんのコメントから。初読の作家さん。東京・巣鴨のあたりで戦前に生まれ育った人の見た風景を追体験したくて手に取りました。相当裕福な家庭で、夏には避暑旅行は当然、叔父が建てた我孫子の壮大な別荘のエピソード、中学ごろからレストランの食べ歩きをしていたとか、予想外の斜め上の話が多かったが、昭和の重大事件の際の世間的な空気や洋画の感想、あるいは交友関係は非常に面白かった。学校の旧態依然・理不尽な規則に反抗して退学になったり、ストーカーになったりと決して誇れない話も、読者特権で愉しみました。タイトルは実に適切。2022/09/23