内容説明
士道に殉じつつ散華した若き男達の人間的な素顔を活写する魅惑の14話。秋霜の隊務のあいまに俳句をひねる鬼の土方歳三、底抜けに明朗な現代的青年沖田総司、艶話にふける原田左之助―士道を掲げ血の掟に縛られる殺戮集団のなかにあって、人間的に生きることを志した男たちの姿を、明るくユーモラスに描いた“哲学者”による夢物語。
目次
えらい人・芹沢鴨と山岡鉄太郎
ここは試衛館ではない
土方のタトエばなし
女と新選組
教えたがり屋武田観柳斎
原田左之助のエロ話
おれには見えない
みかどはパーパス
斎藤一の訓話
沖田マニアの夢
我ら脱走に成功せり
土方歳三の癖
幽霊を斬る
山南と沖田の死にかた
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
こばまり
58
すわ珍本と思いきや、文庫古本が廉価に入手可能ということは当時は人口に膾炙した作品だったのだろうか。さも言いそうな台詞が充満していて頬が緩む。ほぼ笑い話でもってきて、最後の山南と沖田の会話の臨場感。ニクイ。2020/10/05
Die-Go
57
再読。ある新選組マニアの老人が夢に出てきた隊士達の逸話を語ると言う短編集。夢語りだけに内容はフィクションなのだけど、こんな話もあったんじゃないかと思わせる技巧は見事。斉藤一が良く出てくるのだけど、そのキャラがなかなかにユニークで楽しませてくれる。哲学と銘打っているけど、堅苦しくなくて読みやすい。★★★★☆2016/12/23
みーや
12
新選組が大好きな老人が語る、新選組の話。短編集。 新選組が好きすぎて、夢にまで出てくるというので恐れ入る。本作はその夢の話。 夢の話だけど、かなり哲学的な話で結構難しかった。2020/02/21
小雀✡ずーっと積読減強化月……
8
コレは、新選組のファンである伊勢川氏が夢で見た話を福田貞良が本にした『夢物語』。 有りそうな話ばかりで面白かった。 著者が『有りそうな話ですね』と言えば、『(夢で)この目で見てたんですから』と返す辺り、真面目に話をしているのに『頭のおかしいオッサン』にしか感じないww(褒め言葉) 夢にまで新選組隊士が出て来て、リアルな話をするなんて羨まし過ぎるでしょ! 2014/11/16
Ishiko
6
ひさしぶりに再読。「幽霊を斬る」が好き。土方に叱られてる、沖田と斎藤が面白い。斎藤の『幽霊より土方さんの方がこわいのはあたりまえだろう』という台詞。ごもっともです。2014/06/29