感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
KAZOO
18
かなり人物別に時代を追って書き連ねています。ですのでこの時代の有名人に興味のある方はかなり面白く感じられるのではないかと思いました。また宗教的にもかなり変動のあった時代でそこのところをきめ細かく書かれています。読み終わるのがもったいないくらいでした。上下巻で普通の文庫本4~5冊分はあるのではないかと思います。2014/06/30
mahiro
11
遂にまとまる事のなかったイタリアはスペインやハプスブルク゛、フランス王家の勢力争いの場となり宗教改革の波がヨーロッパを覆いイングランドやフランスも新旧の宗教の争いによって国の姿も変わって行く。教科書で名前を知っただけの人物などが多く登場し始めて読んだその生涯が興味深かった。特にカルヴァン、サボナローラの如く酷薄で敵を容赦なく火刑台に送るような人物だったとは・・イエズス会の不気味さとか「善であれ悪であれ中途半端な人物、手段を許容しなかった」時代なのだ、下巻も面白かった。2017/06/10
roatsu
10
ルネサンス終焉と周辺列強の干渉を受け、長い斜陽の時代を迎えるまでのイタリアを描く下巻。人文主義よりもその後の欧州のありようを決定づけた宗教改革の様相と伊を取り巻く覇権国となっていく仏、西の姿など華麗なルネサンスに対するこれら合わせ鏡を通してイタリアを見る一冊。こちらの方が重かった。兵士の育たない国では市民もまた育たない、という上巻での文言が厳しく響く。2015/03/08
鮭
6
斜陽にさしかかるイタリア。“世俗国家の欠如は宗教改革運動の進展を妨げ、宗教改革運動の欠如は世俗国家の発達を妨げた。この絶望的条件の中にイタリアはあった”。・・・・以後、欧州の「その他大勢」「狩場」と成り果てる、その因果がここにある。2010/02/28
tieckP(ティークP)
4
宗教革命やハプスブルク家に多少なり興味があるからだろうか、上巻よりも刺激的に読めた。モンタネッリは、客観と鋭い直感を混ぜ合わすのが実にうまくて、印象で述べているところも読まされる。最後をブルーノで締めていることからも、また前書きで宗教家の反応をうかがったと述べていることからも、やはり主役は宗教改革。新旧どの立場にも肯定と風刺を忘れていないのが好ましい。それらに混ざって、特に芸術家の評伝は短いなりにそれぞれ良く書けていて、アリオストやタッソー、そして画家たちの姿が、ヴァザーリを引きつつ生き生き描かれている。2012/11/17