中公文庫<br> 山中放浪 - 私は比島戦線の浮浪人だった

中公文庫
山中放浪 - 私は比島戦線の浮浪人だった

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  • サイズ 文庫判/ページ数 270p/高さ 15cm
  • 商品コード 9784122005952
  • NDC分類 916

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

モリータ

11
◆当時42歳で末期のルソン島に報道班員として派遣された今日出海のマニラ〜エチアゲからの脱出劇。山中と言っても未開のジャングルに徒歩で分け入ったのではなく、街道沿いに島中央の高原地帯へ自動車で北上する。一応食べるものはあり、軍人ではないので周りにも優しくしてもらえるし、空き家で一人住まいもできるが、毎日の空襲といつ包囲が狭まるかに怯える5ヶ月間のきつさ。◆疎開した女子だけの村、特攻で死んだものとされた兵の集団の荒み方、兵隊相手の漫談で取り入る著者の調子の良さ、生き延びたいという煩悩、など。2019/06/26

wei xian tiang

2
比島戦は食糧事情こそ濠北よりましなものの、決定的に住民感情が悪く残虐行為も多々あるため読むのが辛く、手記読みもつい後回しにしがちである。本書は今東光の弟の著者が、陸軍報道班員としてルソン山中に敗退生活を送り、まさに九死に一生を得た手記。同僚班員に里村欣三の名が出てきた。一年程前に読んで鮮烈な感動を覚えた「河の民 ボルネオ紀行」の著者である。プロレタリア作家としても今なお熱烈なファンがいることを知る。バギオ近くで爆死した里村への哀悼により成った書と半ば言ってよい。2014/08/07

toshokan-no-hito

1
大岡昇平の『野火』を読んだ後、蔵書の山から掘り出して読む。こちらはノンフィクションというか、敗戦間近のマニラ山中を彷徨の果てに奇跡的に生還した著者の実体験。著者と行動をともにしたプロレタリア作家里村欣三の最期も哀しい。山中彷徨から台湾へ向けて出発する辺り(全体の2/3)はあまり悲壮感はないが、無事に台湾に脱出して内地へ戻ろうとするくだりの悲壮感と迸る激情、反戦の叫びに胸を打たれた。隠れた名作。2015/08/15

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